プロデューサーのジャイルズ・マーティンがビートルズの「オー!ダーリン」をリミックスした。これは同バンドが1969年にリリースしたアルバム『アビイ・ロード』の50周年記念エディションの発売に先駆けたものだった。ビートルズのプロデューサーを務めた故ジョージ・マーティンの息子ジャイルズ・マーティンは、近々発売される同アルバムのデラックス・リイシュー盤に収録するために、「オー!ダーリン」の2019年ミックスを新たに制作した。この記念エディションはアップル・コープ/キャピトル/ユニバーサル・ミュージック・エンタープライズから9月27日に発売予定だ。
同レコード・レーベルは「オー!ダーリン」の2つ目のバージョンも公開済みだ。これは「テイク4」と名付けられた未公開バージョンだ。アビイ・ロード・スタジオでのレコーディングセッション中に録音されたテイクの一つで、ビリー・プレストンがオルガンをオーバダビングしている。
記念リイシュー盤『アビイ・ロード』のスーパーデラックス・エディションには、17曲のオリジナル曲に加えて、アウトテイク音源とデモ音源が23曲収録されている。これはマーティンの父ジョージが録音したマルチトラックテープ原盤の音源をマーティンが新たにリミックスしたものだ。また、100ページのハードカバー仕様の豪華ブクレットも含まれており、ポール・マッカトニーの序文がついている。この記念リイシュー盤は、スーパーデラックス・エディション、4枚組CDまたはブルーレイの限定版ボックス・セット、3枚組LPのボックス・セットなど、全部で7種類のフォーマットでリリースされる。現在、すべてのフォーマットの先行予約を受け付け中だ。
「楽器を奏でる手、メンバーの声の混じり合い、アレンジの美しさが相まって魔法が生まれる。我々の仕事は、収録曲が初めてレコーディングされたときと同等の新鮮さと感動を(リミックスに)確実に持たせることだ」と、マーティンが記念リイシュー盤の紹介文に記している。
マーティンが最近ローリングストーン誌に語ったところによると、ビートルズ自身が、バンドのキャリアの中でアルバム『アビイ・ロード』が要となる作品だと認識していたという。「継続する要素というのがなかった。つまり、『これをリリースしたら、次は別のことをやる』って感じだ」とマーティン。そして、「一方でホワイト・アルバムは、『これが現在の僕たちで、半年後の自分たちはどこにいるのか知らないけど、とにかく僕たちはこの旅を続行中だし、この作品はこの旅の途中経過だ』という感じなんだ。アビイ・ロードが最後だと彼らもわかっていた。つまり、この先の人生でする呼吸や心臓の鼓動の回数には限りがあって、その呼吸、その鼓動が大切だということを自分で確認したいと彼らは思った。それがアビイ・ロードの核心部分なんだ。彼らはこのアルバムがどれだけ重要かを理解していたのさ」と説明した。