ー4年連続での来日というのは凄いですね。
スコット:うん、ポリフィアと日本のファンの間には強い絆があるんだ。初めて日本に行った2016年、お客さんがすごく静かだったのを覚えている。ギターのピックを床に落としたら、音が聞こえるほどだったよ。ライブ前にすごく緊張して、出番の15分前に5~6回はトイレに行ったっけな(苦笑)。でも気付いたのは、俺たちがウケていないのではなく、日本のファンが真剣に演奏を聴いてくれていることだった。彼らの熱意に応えて、俺たちも気合いを入れて演奏している。最近では、けっこうクレイジーになってきたけどね。前回はクラウドサーフィンするファンもいたし、俺たちも負けずにクラウドサーフィンして、最高に楽しかったよ。



2018年の来日公演の様子(Photo by Kayoko Yamamoto)
ー前回は『New Levels New Devils』に伴うツアーでしたが、今回のテーマは何でしょうか?
スコット:みんなのお気に入りの曲をプレイして、グッド・タイムを楽しむショーだ。
ー今回初めてポリフィアのライブに参加する音楽リスナーに、どのようなものだと説明しますか?
スコット:音数が多いパーティーだ。友達も連れていった方が良い。君が体験したことを友達に言っても、きっと信じてくれないからね!
ーポリフィアの音楽の特徴としてあなたとティム・ヘンソンのツイン・ギターがありますが、2人のプレイのスタイルはどんな点が共通していて、どんな点が異なっているでしょうか?
スコット:2人ともテクニカル・ギターやエクストリーム・メタルが好きで、アイバニーズのギターを愛用しているという共通点はあるけど、ティムの方がトリッキーで、エフェクトに凝るタイプかな? 彼はフロント・ピックアップを多用するギタリストだと思う。俺はリア・ピックアップ派で、ハイゲインのパワーが好きなんだ。
Guitar Worldによる、スコットとティムが並んで「Look But Dont Touch」をプレイする動画
ー『New Levels New Devils』のCDブックレットにブラックメタルロ風のロゴを印刷したり、「Look But Dont Touch」のMVでブラックメタル的なイメージが使われたりしていますが、ブラックメタルはお好きですか?
スコット:ブラックメタルは音楽そのものより、そのイメージの方が好きなんだ。現代のポピュラー文化ではあちこちでブラックメタルのイメージが使われているし、俺たちがやったら面白いと思った。それにティムと俺はポリフィアを始める前からメタルが好きだったんだ。メシュガーやジョブ・フォー・ア・カウボーイが大好きだった。最近気に入っているメタル・バンドはシャドウ・オブ・インテント。
ーギターを始めたとき、ポール・ギルバートの大ファンだったそうですが、他にどんなギタリストから影響を受けましたか?
スコット:ジミ・ヘンドリックス、スティーヴィー・レイ・ヴォーンなどのオールドスクールな名手を聴いてきた。スティーヴ・ヴァイやジョー・サトリアーニも、「いったいどうやって弾いているんだろう?」と分析しながら必死にコピーしたよ。そしてその後、ガスリー・ゴーヴァンには衝撃を受けたね。彼らからの影響を通過して、最近ではよりベーシックなスタイルに戻りつつある。ペンタトニック・スケールをプレイの軸にしたりね。ペンタトニックは世界最高のスケールだよ!
『New Levels New Devils』収録曲「G.O.A.T.」
ーあなたがさまざまなギタリストから影響を受けてきた時代から、今では若いギタリスト達が今やSNSやYouTubeにポリフィアの曲をコピーして公開していますが、そんな状況についてどう考えますか?
スコット:まだ現実味がないよ。他のギタリストをコピーする側だった俺が、いつの間にかコピーされるなんてね(笑)。ポリフィアの音楽から何かインスピレーションを得て、さらに新しいことをしてくれたら嬉しい。
ーそんな若いギタリスト達にアドバイスするとしたら?
スコット:うーん、難しいね。音楽理論は学んでおいて損はないと思うけど、現代ではスマホでギター講習を受けることも出来るし、専門学校や音楽大学に行くべきか……と言われると、判らない。
ーネット全盛の現代で、ライブ活動はどんな位置を占めるでしょうか?
スコット:ツアーというのは無茶苦茶大変だけど、それが楽しいんだ。最初の数回はとにかくキツくて、もう2度とやるものか!と思うけど、何度もやっていくうちに楽しくなってくる。慣れてくるし、どこで気合いを入れて、どこでリラックスすればいいか判ってくるんだ。ファンが増えれば扱いも良くなってくるし、ギャラも増える。Tシャツなどのマーチャンダイズも売れるようになるよ。決して楽じゃないけど、自分のやっていることを愛し、信じて、全力を挙げて努力すれば、きっとうまく行く。頑張って欲しいね!
ーBABYMETALのニューアルバム『METAL GALAXY』(10月11日リリース)の収録曲「Brand New Day」にゲスト参加していますが、彼女たちの音楽を初めて聴いたのはいつですか? どう感じましたか?
スコット:BABYMETALを初めて見たのは5年ぐらい前、ジミー・ファロンだったかな? アメリカのTVトークショーだったんだ。吹っ飛ばされたよ。バッドアス(=最高)だ!と思った。グループのコンセプトだけで既に最高なのに、音楽そのものもクレイジーだった。
ー「Brand New Day」の作業はどのようなものでしたか?
スコット:既に出来上がったトラックをもらって、それに俺とティムでギターを入れたんだ。ツアー中だったんで2週間ぐらいかかったけど、比較的スムーズにレコーディング出来たよ。完成したバージョンを聴いて、「ワオ!」って思った。残念ながら、彼女たちにはまだ直接会ったことがないんだ。ぜひ俺たちのショーを見に来て欲しいね(筆者注:BABYMETALはちょうどアメリカ・ツアー中)。
ー「Look But Dont Touch」は既にファンから支持を得ていますが、次のアルバムも同様の路線になるでしょうか?
スコット:「Look But Dont Touch」は単発のシングルだし、必ずしもアルバムの音楽性を代表するものにはならない。元々ツアー名が”Look But Dont Touch”ツアーというものだったから、曲のタイトルは後から付けたんだ。次のアルバムに向けて曲作りを始めているけど、かなり異なったタイプの曲が多い。ただ「Look But Dont Touch」と同様に、アルバムでは8弦ギターを多用することになる。
ー『ルネサンス』(2016年)までは7弦や8弦ギターを弾いていましたが、『New Levels New Devils』は6弦ギター主体でした。何故8弦ギターに戻ったのですか?
スコット:これといった理由があるわけではなく、久々にやってみようかと思ったら、しっくり来たんだ。ちょうどアイバニーズのRGの8弦ニュー・モデルを手にしたこともあってね。日本にも持って行くつもりだよ。
ーヒップホップやEDMのアーティストはアルバム単位での作品リリースをせず、1曲ごとにネットで発表していくことが少なくありませんが、ポリフィアは今後も”アルバム”を作り続けるのですか?
スコット:1曲単位のリリースだと気軽に発表出来るというメリットがあるけど、俺たちはこれからも”アルバム”にこだわり続けるつもりだよ。単発で急いで出すのではなく、時間をかけて曲を書いて、何年経っても聴ける作品にしたいんだ。次のリリースはフルレンス・アルバムだけど、まだ先の話だ。まずは日本でのライブを最高のものにするよ!

ポリフィア来日公演
2019年10月5日(土)大阪・梅田Shangri-La
OPEN 17:00 / START 18:00
チケット:¥6,900-(税込/All standing/1Drink別)
2019年10月7日(月)東京・恵比寿LIQUIDROOM
OPEN 18:00 / START 19:00
チケット:¥6,900-(税込/All standing/1Drink別)
詳細:
https://www.creativeman.co.jp/event/polyphia2019/