―シガレッツ・アフター・セックス(以下シガレッツ)を知ったきっかけは?
ラブサマ:どこかのサイトで「こういうバンドがいるんだなー」と知って、曲を聴いてみたらメッチャ良かったという。バンドの名前と中身がとっても伴ってますよね。
黒田:バンドの中心人物、グレッグ・ゴンザレスの声がいいんだよね。バンド名といえば、俺はまず「Cigarette in Your Bed」を連想したかな。マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのシングル曲。
ラブサマ:なるほど。そこから取ってるんですか?
黒田:いやいや。本人がいろんなインタビューで語ってるけど、グレッグにはセフレがいたそうで、彼女がいつも終わったあとタバコを吸ってたんだって。そこからグレッグも吸うようになり、ある夜一緒にタバコを吸ってたら思いついたとか。たしかにサウンドも、事後のまどろんでる感じだよね。
ラブサマ:行きました! 会場ではCharaさんが隣にいらっしゃって、Charaさん大好きなのでドキドキしました。
黒田:ライブはどうだった?
ラブサマ:音源だと、(グレッグが)声を張らないじゃないですか。私もそうですけど、ウィスパーで歌う人ってライブだと大変なんですよ。自分のマイクに(演奏の)音が被ったりしがちで。だから、ライブでもあの音が再現されるのか、それとも全然変わるのかどっちだろうと思ったんですけど、本当にそのままでしたね。素晴らしかったです。
―具体的に、シガレッツのどの辺が刺さったんですか?
ラブサマ:まあ、ああいう音楽は好きですよね(笑)。最初に聴いた時は、スロウダイヴっぽいなと思いました。
黒田:へー、どのあたりが?
ラブサマ:曲にもよりますけど、スロウダイヴってマイブラほど暴力的でもないじゃないですか。シューゲイザーっていうよりもドリーム・ポップに近いクリーンな音に重ねて厚みを出すというか。ただ、シガレッツはスロウダイヴと比べて、そこまでコード感が寂しくなりすぎないですよね。ドリーミーな音作りをしているから悲しく聴こえるけど、テンポを早くしたら全然ポップな感じになると思う。
黒田:わかる、曲自体はめちゃくちゃポップなんだよね。ロネッツとかあの辺りのオールディーズっぽさを感じるというか。
ラブサマ:あとは歌詞が……back numberっぽくないですか?
黒田:そうなの?(笑)。
ラブサマ:もちろん別物だと思いますけど、シガレッツも一貫して過去の恋について歌ってますよね。バンド名も「終わったあと」だし、ずっと昔のことを回想している……back numberも確か過去の恋愛に絞って歌詞を書くバンドだった気が……。
―「思い出せなくなるその日まで」みたいなやつですよね(笑)。グレッグの女性遍歴は結構すごそう、そんな曲をいくつも書くくらいだし。
黒田:過去のインタビューでも、そういう話をオープンに打ち明けているよね。
―初期の代表曲「K」については、「当時の僕は遠距離恋愛をしていて、相手の女の子が地元に戻ってしまう前に、NYで過ごしたロマンティックな1週間について書いた曲なんだ」と話しています。
ラブサマ:あははは! 笑っちゃった。最高ですね。
黒田:同じソングライターとして、そういう歌詞ってどう思う?
ラブサマ:私は自分の性格もあって、歌詞に幅をもたせちゃう。
黒田:なるほど。
ラブサマ:グレッグはきっと、自分の気持ちに素直なんでしょうね。私はあんなふうに明け透けな歌詞を書いたりできないです。だから、「K」みたいな内容を歌っているのは尊敬しますよ。仮に自分が1週間スペシャルな経験をしたとして、曲の隅にちょろっと入れるならまだしも、ここまでわかりやすく書いたりします? しかも(取材で)そういう裏話も明かしちゃうんですよ。勇気ありますよね。
黒田:昔はシンガーソングライターといえば、私生活をあからさまに歌う人が多かったでしょ。でも最近は、(作曲の)とっかかりは個人的な体験でも、誰が聴いても解釈の幅がもてるようにしている人が多いような気がする。グレッグは1982年生まれだから……37歳か。
ラブサマ:めっちゃ生々しいですよね。

シガレッツ・アフター・セックス、写真中央がグレッグ・ゴンザレス (Photo by Ebru Yildiz)
黒田:少し前、OGRE YOU ASSHOLEの出戸学さんにインタビューしたとき、「歌詞の抽象度を高めれば高めるほど、結果としてエロスに近づいていく」と話していたんだよね。彼らのニューアルバム『新しい人』って、シンプルで抽象的なのにすごくエロいんだよ。
ラブサマ:へー、面白い!
黒田:オウガが抽象的な「概念」としてのエロをを突き詰めているのに対し、シガレッツの表現は「具象化」したエロって感じがするよね。オウガの絵がピカソだとすれば……
ラブサマ:シガレッツは裸婦画みたいな感じがしますね。
―黒田さんはシガレッツのことをどう見てます?
黒田:アウトプットは一見シンプルだよね。アートワークはモノクロで、楽曲も似たような感じが多い。でも、彼らは細かいニュアンスの差異にこだわり、膨大な情報量をギュッと絞り込んでる感じがする。あそこまで(曲調が)シンプルなのに退屈しない要因はそこじゃないかな。
ラブサマ:わかります!
黒田:本人はいろんな音楽に精通しているみたい。グレッグはデスメタルをやってた時期もあるし、ジャズやアンビエントも好きらしい。BABYMETALやYMO、コーネリアス、林原めぐみといった日本の音楽にも興味があるとか。
―林原めぐみ! 『スレイヤーズ』とかも好きなんですかね。
黒田:ドリーム・ポップでいうと、中性的な声はライっぽいよね。デヴィッド・リンチ監督の『ツイン・ピークス』などで歌っているジュリー・クルーズにも通じるところがあると思う。
―ラブサマちゃんはドリーム・ポップ全体でいうとどうですか?
ラブサマ:好きなのは好きですけど、どこまでがドリーム・ポップなのかよくわからない……。そもそも、どういう定義なんですか。眠気を誘うような音楽のこと?
黒田:いい質問(笑)。もともとは批評家のサイモン・レイノルズが使い出した用語なんだよね。90年代初頭のイギリスで、マイブラやスロウダイヴ、ライドといった元祖シューゲイザー・バンドが台頭したときに、サイモンはその浮世離れしたサウンドを”ドリーム・ポップの一種”というふうに定義している。
ラブサマ:たしかに、ドリーム・ポップとシューゲイザーは共存してるとも言えますよね。
黒田:で、ドリーム・ポップの元祖といわれているのが、80年代前半に登場したコクトー・ツインズ。エリザベス・フレイザーによる幽玄な歌声と、モジュレーション(揺らし)系のエフェクターを駆使したロビン・ガスリーのギター、官能的なムードと優美なサウンドスケープは、シューゲイザーにも大きな影響を与えた。彼らが所属した4ADは、レーベル設立者のアイヴォ・ワッツ・ラッセルによるプロジェクト=ディス・モータル・コイルを筆頭に、多くのドリーム・ポップ勢を輩出している。
―コクトー・ツインズは宇多田ヒカルのお気に入りとしても有名ですね。グレッグも当然のように影響を公言しています。
黒田:シガレッツの音楽がコクトー・ツインズと特別近いとは思わないけど、グレッグがテキサス出身なのもあって、彼らはカントリーやフォークの曲をカバーしてるよね。そこは実にドリーム・ポップっぽい。
―というと?
黒田:グレッグは以前、「コクトー・ツインズのルーツにはフォーク・ミュージックがあると思う」と言ってたけど、本当にそのとおりで。ロビン・ガスリーはマーク・ガードナー(ライド)と一緒に、『Universal Road』(2015年)というフォーキーなアルバムを共作しているし、ガイ・チャドウィック(ハウス・オブ・ラブ)のめちゃくちゃフォーキーなソロ作『Lazy, Soft & Slow』(97年)もプロデュースしてる。スロウダイヴの主要メンバーも、解散後にモハーヴェ3というカントリーに影響を受けたバンドで活動していた。そう考えると、シガレッツは彼らと深いところで繋がっている感じがする。
シガレッツがカバーした「Neon Moon」、原曲はカントリー・デュオのブルックス&ダンによるもの
黒田:ちなみに、コクトー・ツインズ以前にもドリーム・ポップの礎となった音楽は存在していて。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「Sunday Morning」や、ジョン・レノンの「夢の夢」(#9 Dream)とか。甘いボーカルも通じるものがあるし、リヴァーブがいっぱいかかった夢見心地のサウンドだよね。それから、最初に引き合いに出したロネッツ。彼女たちをプロデュースしたフィル・スペクターが、「ウォール・オブ・サウンド」によって実現させた深いエコーもドリーム・ポップと繋がっている。「Be My Baby」とか象徴的だね。
―最近亡くなったハル・ブレインが叩く「ドンドドンッ、パンッ!」ってイントロも、ジーザス&メリーチェイン「Just Like Honey」からラナ・デル・レイ「Lust for Life」まで、ドリーム・ポップの名曲に受け継がれています。
黒田:あと、ドリーム・ポップ特有のささやくような歌い方や高音ボーカルは、フレンチポップの影響も大きいんだよね。グレッグはフランソワーズ・アルディが一番好きなシンガーと言ってたし、セルジュ・ゲンスブールについても「セクシャリティに対してオープンで、あの時代ではとても過激な存在だった」と語っている。セルジュの『メロディ・ネルソンの物語』や、あのアルバムに影響を受けたベックの『Sea Change』もすごくドリーム・ポップっぽい内容。フォーキーな演奏にめちゃくちゃリヴァーブかけてたり。
ラブサマ:私もベックだと、あのアルバムが一番好きかも。
黒田:さらに話を続けると、もう一つの代表格であるマジー・スターが「ドアーズ以来、最高のサイケデリックバンド」と呼ばれているように、サイケも大きなルーツ。80年代初頭のLAでは、60年代サイケに影響を受けた「ペイズリー・アンダーグラウンド」という動きが盛んで、バングルス、スリー・オクロック、ドリーム・シンジケートといったバンドが登場して、プリンスの『Around The World In A Day』(85年)にも影響を与えるほどだった。マジー・スターの片割れことギターのデヴィッド・ロバックも、もともとはレイン・パレードというバンドの一員で、このシーンの中心にいたんだよね。
―彼らやギャラクシー500、ヨ・ラ・テンゴは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド直系のフォロワーともいえますよね。ドリーミーかつフォーキーな歌と演奏は、シガレッツとも音楽的に近い。
黒田:そして、現代のドリーム・ポップを代表するバンドといえばビーチ・ハウス。『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』など映画音楽の巨匠、ミシェル・ルグランを叔父に持つヴィクトリア・ルグランの中性的な歌声や、コクトー・ツインズ直系のギターサウンドなど、シガレッツとの共通項も多い。
―先生の話が長くなってしまいましたが、ラブサマちゃんはコクトー・ツインズとか好きですか?
ラブサマ:歌がめっちゃ上手いじゃないですか。初めて聴いたときビブラートのかかり方にビビっちゃって(苦笑)。高校3年のときかな、当時の私は歌が上手いなんて最悪だと思ってたんですよ。
黒田:すごく90年代マインドな話をしているね(笑)。
ラブサマ:そういう競争がイヤで音楽を聴くようになったのに、もう上手いヘタの話なんかしたくないと思って。そこから数年くらい敬遠しちゃったけど、ディスクガイドに載ってる作品を片っ端から聴いてた時期に、サウンドプロダクションの角度から良さに気づきました。
黒田:今の話を聞いて思ったけど、ビートルズやパンクがそうだったように、影響力の大きな音楽って「これなら俺たちにもできる!」と思えるものだったりするじゃん。でも、コクトー・ツインズはそういう音楽ではないのかもしれないね。エリザベス・フレイザーが好きでも、彼女のように歌いたいと思う人はそこまでいなさそう。
ラブサマ:うん、思えない!
黒田:それなのに、ここまで影響力があるのは不思議。どちらかといえばビョークに近いのかな。誰もビョークにはなれないけど、彼女に憧れて音楽を始めた人はたくさんいるわけで。
コクトー・ツインズを輩出した4ADが1986年に再発した、ブルガリア国立放送合唱団『Le Mystere Des Voix Bulgares Vol.1』より。エリザベス・フレイザーの歌唱スタイルは、ブルガリアン・ヴォイスの影響も大きいとされている。
―そう言われると、古くはニコやジェーン・バーキンから、ホープ・サンドヴァル、ヴィクトリア・ルグランなど崇高なカリスマばかりですね。でも演奏面に限れば、ドリーム・ポップは腕を競い合うのと真逆の音楽じゃないですか。テクニックよりも質感やムードのほうが大事というか。
ラブサマ:たしかに! だいたい単音リフだし。
黒田:ロビン・ガスリーのギターを再現してみたいと思う人は結構いそうだね。スロウダイヴやライドも突出した天才肌がいるわけではないけど、全員でいい音楽を作ってる感じがする。マイブラはケヴィン(・シールズ)が突出しまくっているけど(笑)。
―80年代にドリーム・ポップが出てきたあと、90年代にシューゲイザーが勃興したのも必然だったんですかね。パンク的発想でシューゲイザーが生まれたというか。
ラブサマ:あの浮遊感を凡人が奏でるためにがんばった結果なのかも。シューゲイザーはまだ真似しやすいかもしれないですよね。デカイ音を出したかったら、ペダルを買えばいいだけだし(笑)。それがなかなか難しかったりもしますが……。
―ここ数年はまたドリーム・ポップが流行ってる感じがしますね。シガレッツもそうだし、最近だとクラム(Crumb)の『JINX』、ボディウォッシュ『Comforter』とかよかったです。
黒田:4ADから出たディアハンターやビッグ・シーフに、ジェイ・ソム、ダイヴ(DIIV)など、2019年もいいアルバムが多かったよね。あと、まだ音源が1曲しか配信されてないけど、ドラッグ・ストア・ロメオズというロンドンの男女3人組も、ビーチ・ハウスやポーティスヘッドを彷彿とさせて期待大。日本でもPELICAN FANCLUBや、ロビン・ガスリーにリミックスを提供してもらったLuby Sparks、THE NOVEMBERSの小林祐介くんが新作をプロデュースしたpollyなど、コクトー・ツインズに影響を受けたバンドが増えている。
―2000年代後半にチルウェイヴが流行ってから、メロウでアンニュイな音楽の流れがずっと続いてる気もしますね。そこからラナ・デル・レイが登場して、初期のザ・ウィークエンドがコクトー・ツインズをサンプリングして、ドレイクの『Take Care』(2011年)も妙にドリーム・ポップ的な内容で……そういう流れがアンビエントR&Bを通過して、今日のビリー・アイリッシュまで受け継がれているともいえるわけで。
黒田:それと今になって思うのは、ヴェイパーウェイヴもドリーム・ポップっぽくない?
ラブサマ:あー、今言われて気づきました。ヴェイパーウェイヴが好きな人たちは、ドリーム・ポップというより特異な存在として聴いてたかもしれないけど、たしかに似ているところはありそう。(音楽的には)似たような背景をもつチルウェイヴ的なアプローチの人も多かった。チルウェイヴには、ドリーム・ポップ/シューゲイザーと共通する部分があったじゃないですか。みんな陶酔したかったのかもしれないですね。
黒田:陳腐な言い方をすると、世の中がクソだから逃避したくもなるよね。最近のシティポップ・ブームも背景は同じだと思う。バブルの時代を呼び起こしたい、架空の都市に逃げ込みたい、みたいな。
ラブサマ:陶酔的な音楽が求められるのは、そういう時代背景も関係あるんでしょうね。
ヴェイパーウェイヴの先駆けとなった、MACINTOSH PLUSのアルバム『Floral Shoppe』(2011年)より
―ドリーム・ポップのニーズが高まっているのも同様の背景があるんでしょうね。そのなかで、シガレッツの独自性ってどこにあると思いますか?
黒田:セックス逃避かな。快楽のなかに潜り込もうという音楽。
―(苦笑)。
ラブサマ:そういう男女の愛もそうなんですけど……シガレッツの音楽って「You & I」じゃないですか。歌詞を読んでも、この世界には二人しかいない。「私と誰か」だけの世界観って現実逃避にぴったりですよね。外野もいないわけだし、今の社会はクソだっていうのから一番遠く離れたところにいるわけだから。グレッグは二人の間に関係しない限り、「安倍が、トランプが」とか絶対に歌わないじゃないですか。
黒田:しかも、普通のラブソングは「あなたと私」だけど、彼らのセックスソングはそこすら融解して、ほぼ一つみたいになってる感じがする。そんなふうに捉えると、シガレッツの音楽はエスケーピズムの極北とも言えそうだね。
―海外ではドリーム・ポップを語るとき「コクーン(繭)」って表現がよく使われてますけど、繭に包まれるような感じというか……。
ラブサマ:うん、すんごいします! その感覚がシガレッツの音楽をドリーミーにしているのかも。
黒田:「シティ」よりもっと狭い単位として「コクーン」はしっくりくるね。究極のコアというか。
―シガレッツの新作『Cry』はどうでしたか?
黒田:前作と一緒!
ラブサマ:あはは、そうなんですよね。さっき黒田さんもおっしゃってましたけど、前作の時点で金太郎飴だったじゃないですか。でも、それでいいと思う。
黒田:むしろ、彼らの場合はそうじゃないとダメ。急にパンキッシュな曲をやるとかしても困っちゃう。ただ難しい話だよね。金太郎飴と言われるのは、アーティスト側としてはどうなんだろう?
ラブサマ:「この新世代バンドがシーンを変える」みたいな、新しさを求める人は多いじゃないですか。私も聴いたことがないような音楽に驚かされたりするけど、それだけが大事なことではない気もしていて。ポップ・ミュージックっていう、手法が出尽くされた枠組みのなかで、メロディと歌詞と歌さえ素晴らしければ、金太郎飴でも全然いいと思う。ピアノと歌だけになっても「いい曲だな」と思えるような音楽は強いと思いますし。そういう観点でいうと、今回のアルバムも素晴らしいですよね。
黒田:ソングライティングもどんどん研ぎ澄まされてるよね。前作からそういう印象だったけど、もはや職人的。
―特に好きな曲は?
ラブサマ:(タイトル曲の)「Cry」ですね。この曲が一番心が動きました。メロディもすごくないですか。半音ずつコードが上がっていくところがよかったです。
黒田:俺は「Pure」が好き。フォーキーでベックを彷彿とさせるよね。本当にベタなポップなんだけど、シガレッツのアレンジになると憎めなくなっちゃう。
―あと無視できないのは、6曲目の「Hentai」。
ラブサマ:私もびっくりしましたよ! 「変態」と言われると目を惹きますよね。
―ここまでザワつく曲名は、数年前のスカイ・フェレイラ以来かも。
黒田:そんな曲あったね(笑)。
ラブサマ:歌い出しから"There was a hentai video that I saw "ですもんね。ヘンタイビデオってどういうこと?
―英語でhentaiは「日本製のエロアニメ(漫画)」を意味するそうです。
ラブサマ:グレッグはどんなビデオを見たんだろう。私もそういうビデオや漫画を見たら誰かと話したくなるかもしれない。
―林原めぐみが好きなだけあって、いろんなアニメに精通しているのか。それとも性癖の一つなのか。これもグレッグの実体験にもとづく歌詞なんでしょうし。
ラブサマ:めちゃくちゃリアリティありますよね。
黒田:こんな話まで書いてしまうんだもんね。他人の日記やメールを読んでるみたい。
―そんなシガレッツの音楽を、どんなシチュエーションで聴きたいですか?
ラブサマ:静かな環境はマストですね。”君を抱き寄せていると いつも 海沿いの家が目に浮かぶ”って歌詞もあったし、私も海沿いで聴いてみたいです。あとは、今から眠るぞってときに聴くのがいいんじゃないかな。
黒田:ただでさえロマンティックな曲調なのに、グレッグの私小説的な歌詞まで加わるとエモすぎる気がしたんだよね。でも言い換えれば、グレッグみたいな恋愛経験がなくても、同じような気持ちを味わえる音楽なのかも。感傷的なムードに浸りながら「あのときはよかったな」と思えてしまうような。
ラブサマ:どの曲も歌詞は私小説的なのに、サビだけは抽象的なんですよね。そこが共感を生んでるのかな。
―”君は僕の人生でただ一つの素晴らしいもの”とか(「Youre the Only Good Thing In My Life」)。
ラブサマ:そうそう、あの曲すごくないですか。タイトルを見て、めっちゃシガレッツだと思いました。歌詞を書くまで2年かかったそうですけど、なかなか筆が進まなかったんでしょうね。歌っていることは結局シンプルでも、そういう歌詞を書くためのモチーフとなる人が現れないと、グレッグは実感を伴って書けないわけで……。
―誰でもいいわけじゃないでしょうからね。恋するにしても、別れるにしても。
ラブサマ:そんなふうに想像しつつ、歌詞を読みながら聴くと泣けますよ。切ない曲が多いから。

シガレッツ・アフター・セックス
『Cry』
発売中
日本公式サイト:
http://bignothing.net/cigarettesaftersex.htm
〈ラブリーサマーちゃん〉

新曲「LSC2000/サンタクロースにお願い」
配信・会場限定リリース
https://linkco.re/amp/UxRHAMmd
ラブリーサマーソニック 2019
日時:2019年11月28日(木)
場所:東京都 Veats SHIBUYA(ワンマン)
VENUS PETER presents「MDC! Vol.2」
日時:2019年12月22日(日)
場所:新代田FEVER
出演:VENUS PETER/ラブリーサマーちゃん
武蔵野音楽祭
日時:2020年1月18日(土)
場所:吉祥寺SHUFFLE
出演:miida/ラブリーサマーちゃん
オープニングゲスト:初恋モーテル
ラブリーサマーちゃん公式サイト:
https://www.lovelysummerchan.com/