今年も千葉・幕張メッセで2日間開催される、国内最大規模のヒップホップ・フェスティバル「POP YOURS 2025」。今年で4回目となるこのフェスは「2020年代のポップカルチャーとしてのヒップホップ」がテーマ。
開催まで1カ月を切った今、総勢43組の出演者の中からヒップホップ次世代スターをクローズアップ。今回は7とMIKADOにフォーカスする。

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今最も熱い注目を集めているのがいわゆる和歌山勢。7とMIKADOは2人とも和歌山出身の同い年で、7は圧倒的な個性とオリジナリティで2023年から注目を集め、MIKADOはリミックスでは7も参加した「言った!!」の大ヒットにより2024年にブレイク。2人は1月29日にWWWで開催されたツーマンライブ企画「〈XX〉」で共演したこともある。

今はいい意味でも悪い意味でも、和歌山がヤバいってなってるけど、
俺らの周りがヤバいっていうのが、たぶん正しいです。(MIKADO)

ー2人はいつからの知り合いですか?

MIKADO 2年前ぐらいから。

7 第一印象がめちゃ怖かって。その時はどんな名前で活動していくかとかも固まってない時やったから、紹介もできやんと。ほんまにお辞儀だけして。

MIKADO 普通にスタジオに遊びに行って、レコーディングしてるって知らなくて。しかも初めて見たから、誰なんやろ?みたいな(笑)。


ー地元、和歌山の今の仲間とはどうつながっていったのですか?

MIKADO 中学ぐらいからヒップホップを知ってて。でもその当時はヒップホップを聴いてる人がいてなくて。普通にスケボーしてて、スケートパークに行ったら、今の俺の友達とかもおって。そこでヒップホップの話になって。ヒップホップを知ってるだけでもうれしくて。それですぐ仲良くなりましたね。そこから自分がラップを始めて、最近出会った子らもいてる感じです。TOFUとは16~17歳ぐらいに出会った感じです。

7 TOFUは高校の同級生で、高校の時から音楽をやってるのは知ってて。卒業してから自分もやりたいなった時に、どうやってやんのやろ?みたいな感じで思ってて。とりあえず和歌山で音の鳴ってるハコに遊びに行って、曲も作ってないのに「ラッパーです」とか言ってたんですよ。そんだらそこにおったJALくんがホムさん(和歌山のプロデューサー、Homunculu$)に、「女の子でラッパーやってるヤツおるで」みたいな感じで言ってくれて。
ある日ホムさんからDMが来て、ビートが送られてきて。「レックしに来て」みたいな感じで、行ったんが始まりですね。そこでみんなと出会いました。

ー7さんの「ラップスタア誕生!」の映像にはBLACKBOXというスタジオが出てきますよね。どういう存在ですか?

MIKADO 自分は毎日BLACKBOXで録ってたんですよ。毎日そのスタジオに入ってたらみんなが来るようになった感じですね。みんなはレックはせず、後ろで座ってたり、しゃべってたりしてました。バーもあるので、レックが終わるまで横で飲んでて。レックが終わったら遊びに行こうみたいなノリですね。

7 私はバイトしてました。「ラップスタア誕生!」に出てた時は家もなかったから、そこで寝て、レックしたり、バイトしたりと、生活の拠点みたいにずっとBLACKBOXにおって。去年はずっと川崎におったんですけど、今年は和歌山に帰ってきたから、最近はまたレコーディングしに行ってます。


ーちなみに、和歌山のアーティストって何故みなさん濃いのでしょうか?

MIKADO ホムさんが超スターターとしているので。地方だとなかなか先生的な人がいてないじゃないですか。ホムさんがラップの技術というよりも、その人に合ったキャラを引き出してくれる。

7 会話してる中で何か見つけてくれますね。「じゃあこのトピックを歌ってよ」とか、「こんなことを言ったら?」とか。

MIKADO 「最近何してんの?」って聞かれて、「こういうことをしてる」って言ったら、「じゃあそれ歌っちゃおう」って。「この服、何なん?」、「じゃあこれやっちゃおう」って。ビートもスゴいですけど、ビートと同じくらいプロデューサー能力がスゴいです。ホムさんは俺らだけが売れたらいいというわけじゃなくて、和歌山がこれから良くなって、ピラミッド状になることを考えてて。下の子が出てきたらずっと押し上げられるから、スゴいことになるって言ってて。和歌山のヤツには特別な思いがあると思います。ホムさんのビートって高いと思うんですけど、和歌山の子には無償で提供してくれるんです。
そういうのがカッコいいよな。今はいい意味でも悪い意味でも、和歌山がヤバいってなってるけど、俺らの周りががヤバいっていうのがたぶん正しいです。

ー和歌山の女の子はどうですか?

7 女の子も出てきてるとは思います。この前も和歌山のG.O.A.Tというハコに行ったら、女の子が「私も音楽やってて。私も頑張ります」って声をかけてくれたんですよ。増えてるんかな?という感じではあります。

ーMIKADOさんが自分でもラップをやろうと思ったきっかけは?

MIKADO フリースタイルが流行ってた時期があって。友達にフリースタイルをカマされて、それ何?っていうところからラップを知って。ヒップホップを聴いていくうちに、これを職業にしたいと思ったし、ラップ以上にやりたいことがなかって。今でこそいろんなジャンルを聴きますけど、ヒップホップしかないというか。何故か自信はめちゃあって、行けるみたいになって。携帯で録り始めました。


ー初期はトラップメタルの最先端みたいなスタイルでしたよね。今は最先端を意識しつつもキャッチーさがあって、バランス感覚が素晴らしいんですよね。今のスタイルに至るまではどのような道を通ってきたのですか?

MIKADO バランスは超むずくて。それをずっと最近までやってたというか。やりたいこととトレンドがあって、その間に行かないとと思って。今までは作り込みすぎてたし、時間もかかるし、凝りすぎるから、もうちょっと素で行った方がいいんかなと思って。今は落ち着かせてますね。

ーMIKADOさんにとって2024年は大きなターニングポイントになったと思いますが、自分としてはどのような動きを考えました?

MIKADO けっこう思ってた通りになりましたね。それまでは聴いてもらえるタイミングが全然なかったんで。俺はヤバいものを作ってると思ってたし、「見つかったらこうなるんやろうな」とは思ってて。曲以外でも、SNSとか、こういう動きをしたらこういう反応が来そうと思ってたのが、今は全部来てて。人って急に成長するじゃないですか。
ちょっとその競技を離れてたのに、もう一回戻って上手くなってる、そういう感覚が一日一日あって。とりあえずヤバい、楽しい、みたいな感じです(笑)。

ーそういう流れで「ラップスタア誕生!」に出て行ったのですか?

MIKADO これ、獲らな終わりでしょ、ぐらい自信があったし、ここでイケてなかったら、イケてないと思ったし。カッコいいヤツはここも普通に通るでしょみたいな感覚ですね。

ー「SELECTION CYPHER」ステージのガヤで、「言った!!」って入れたのは忘れられないです。

MIKADO あれの前に「言った!!」の曲は完成してたんですよ。それで「ラップスタア誕生!」に出た後に出したら面白いかなと思って。過去の自分の出してないけど使ってる言葉ばかりの曲をやったんですよ。

ー「オレのことはやく出せよRASEN」って言ったことも、実際にその後RASENへの参加が決まりましたからね。

MIKADO 「RASEN来そうかも」の「かも」っていうのが、どんどんデカくなった感じですね。全部の行動の語尾に「かも」がついた感じです。行ける ”かも” って。

ー「言った!!」はどのように生まれた曲ですか?

MIKADO あれはスタジオじゃなく、友達の家で録って。

ー「言った!!」はスラングですか?

7 ホンマにみんなが言ってる言葉(笑)。ストレートに思ってることを、ハッキリ相手に向かってバーンって言ったら、「うわ、それ言った!!」みたいな。

MIKADO 言ったらあかんことを言った時に、「言った!!」って言います。

7 例えば、「その髪型、全然似合ってないやん」「言った!!」みたいな。

MIKADO まずその言葉を曲にすること自体が面白くて。身内ノリだし。だからこんなに広がってるのは最初怖くなったすね。みんなが俺らの言葉を言ってるから。

7 熱いです。

ーそれで「言った!! (Remix)」では、7さんと一緒にやろうってなったわけですね。

MIKADO 7も言えそうやなと思って(笑)。

ーさらにKohjiyaも加わって、3人で大喜利みたいになっていますよね。

7 ホンマに無限やから、めちゃむずかったんですけど(笑)。とりあえず自分が今まで歌詞とかで言ってたこと、「こんなんなりたい」「こんなんしたい」みたいなこととか、今すでに叶ってること、当たり前のこととかを言ってみました。和歌山の身内やったらわかることも、例えば、「最初に入れたタトゥーちょっと薄いかも」とかは、みんながよく行くタトゥー・スタジオには一発目は薄いイメージがあるから(笑)。あと、「いい事をしてくれた人にまずはありがとう」みたいな当たり前のことも言って。言ってたことを全部いい感じにまとめた感じです。

今の段階であれが海外でバズったから、(海外に)行けるんやと思いました。自信になりましたね。(7)

ー7さんの「は? (feat. MIKADO)」でも、2人はコラボしていますよね。

7 「は?」の方が先です。「は?」はBLACKBOXにおって、何か作ろうってなって。LionMeloからビートを何個かもらってたから、2人に合いそうなビートを探して。MIKADOには普通にリリックのことを聞いたり、「これどう思う?」って聞いたりしてたんで、その時も一緒にいろいろ聴きながら作っていった感じです。

MIKADO 遊びで作りました。

7 MIKADOと一緒に作る時はホンマに勉強になります。リリックの内容とかフロウもいろいろ学べるから。師匠みたいな感じです。 

ー他にも2人が一緒にやっている曲としては、TOFU & MIKADO「22 feat. 7 & lj」がありますが、MVは和歌山で撮影したのですか?

7 和歌山です。白浜に曲を作りに行こうってなって。TOFU、lj、MIKADO、ljの友達みんなで行った時に作りました。

MIKADO Airbnbにみんなで機材を持っていって。キッチンにパソコンとスピーカーを置いて、そのままキッチンの前で録りました。

ーそうやって制作したムードがMVには出ていますね。

7 確かに。トピックも、全員が同じ歳で22歳やから、「22」でいいじゃんみたいな。

ー他にも2人で作った曲を出す予定はありますか?

7 この前(1月29日)、WWWでツーマンをやった時に、一番最後に歌ったんですけど、「FLYDAY」という曲があって。春ぐらいに出そうかなという感じです。

MIKADO 昔とは違って超楽しい、とりあえず仲間と一緒に遊びに行こう、みたいな曲です。

ーWWWでやったツーマン・ライブはどんな感じでした?

MIKADO 楽しかったな。

7 めちゃ楽しかったです。みんな来てくれたし。もっと頑張ろうってなりました。「言った!!」もめちゃ上がりましたね。Kohjiyaとかljも、みんな来てくれたから。ソロセットをやってから、アンコールで出て行って、2人の曲もやりました。

MIKADO 「言った!!」と新曲の「FLYDAY」をやりました。

ーPOP YOURS 2025は2人とも出演しますが、出演日が違うんですよね。どんなライブをやるんですか?

7 去年一回出たので、去年とはまた違った感じにしたいなと思ってます。ここからいろいろ考えます。

MIKADO 2人の曲はやるかやらんかも決めてなくて。俺はぶち上げ系で行こうかな。あんま感動でシュンとさせやんで、全部アゲにしようかなって思ってるすね。

ーMIKADOさんは「言った!!」もそうですが、「ICOCA」、「B@NDANA」とか、トピックとワード選びが面白いんですよね。

MIKADO 結局、リリックはポンポン出てきちゃうんですよ。トピックの方が時間がかかりますね。昔はリリックを毎日探すというか、こういうことを言ったら面白いんじゃない?というのから、それよりもっと広く、こういうことを歌った方がいいっていう風に変わっていって。トピックを選ぶ感じですね。基本的にインスピレーションを受けるものって、見たものと自分が体験したものしかないから。「言った!!」もみんなが言ってることだし、「ICOCA」もずっと使ってるし、「B@NDANA」も俺らがデザインしてるものだから。

ーそこから面白い切り口を見つけるわけですね。

MIKADO カッコいいことを言おうというよりも、面白いことを言いたいって感じですね。面白いとカッコいいが一緒になってる。

ーおもろカッコいいのって、一番センスが必要とされるところですから。

MIKADO しかも関西やし。関東のは面白くないんすよね(笑)。言ったら、カッコええだけで。歌とラップが上手いだけ。上手いはもういいから。声がめっちゃカッコいいヤツより、めっちゃ面白いヤツの方が聴きたい感じですね。

ー上手いとか音楽的に新しいというのは大前提で、その上でさらに何をやるかが重要ですから。

MIKADO そうです。……言った!!

一同 (爆笑)

ー2025年はどういう動きをしていく予定ですか?

7 客演の曲も出しつつ、去年は自分のソロの楽曲を出してなかったから、今年はもう少しスピードアップして、まとまった作品を出そうかなと思ってます。

MIKADO 俺はここから何枚かシングルを出して、そのシングルとは別にアルバムを1枚、Homunculu$のオールプロデュースで出して。これで一生食っていけるだけの名盤を作ります。これでゲームチェンジしようと思ってて。そこですべてを破壊しようかなと思ってます。

ー長い目でイメージしていることは?

MIKADO アルバムで一回出し切ろうかなという感じですね。そこからはリリースが減るぐらい、次のアルバムに賭けるつもりです。

7 ホンマにヤバいぐらい金を稼ぎたいですね。唯一無二になりたいし。行けるところまで行きたいという感じやから。自分のことをめちゃ大きく見てます。長い目で見たら、世界を見てます。

ー2023年の「ラップスタア誕生!」の時からチャイナドレスを着て登場するなど、音楽だけでなくビジュアルの方も世界を意識しているように感じましたけれど。

7 そうですね。でもチャイナのイメージが強すぎたから、この前は着物を着たんですよ。アジアっぽい感じを出しつつ、普段着でのライブもしてますね。アジアという見た目で売ってたし、日本だけじゃなくて、世界に行きたいです。

ー前に海外でバズった時、「Rice Spice」と呼ばれて、そういうタイトルの曲も出しましたよね。

7 あれはホンマにわからないですね。気づいたらという感じです。「03-Performance」に出たら、知らん間にめちゃバズってたから、エエッ!?!みたいな。しかもRice Spiceって何?って。よくわかんないことが起こってたんですけど、とりあえず曲にして。「ふりかけ(Rice Spice)」って言われてるなと思ってました(笑)。でも、今の段階であれが海外でバズったから、行けるんやと思いました。自信になりましたね。

ー他にも長い目でイメージしていることはあります?

MIKADO ダイヤ付きロレックスを買うことを宣言します!

7 車を買いたいです。フェラーリもいいし、荷台がついたデカいのもいいし。やりたいことはいっぱいあるので、めちゃくちゃ稼いだろという感じです。

MIKADO 「人生博打で、死ぬこと以外は安い」ってアルバムで言ってます。

『7』
7 & ZOT on the WAVE
配信中
https://linkco.re/t4neDuRg

「ENVY/HELLO HATER」
MIKADO
配信中
https://linkco.re/6SceeVtb

POP YOURS 2025
日程:2025年5月24日(土)・5月25日(日)
時間:開場9:30 / 開演11:00
会場:幕張メッセ国際展示場9~11ホール

出演者:
DAY1:5月24日(土)
¥ellow Bucks
ANARCHY
Benjazzy
BIM
Charlu
eyden
Fuji Taito
IO
Jinmenusagi
JP THE WAVY
Kaneee
KM
kZm
LANA
7
SEEDA
3House
Watson

NEW COMER SHOT LIVE
STACK THE PINK
Tete
TOKYO世界
ziproom

OPENING DJ
DJ YUTO
(AtoZ)

DAY2:5月25日(日)
JJJ
Bonbero
DADA
Daichi Yamamoto
Elle Teresa
G-k.i.d
Jin Dogg
Kohjiya
Kvi Baba
lil soft tennisMIKADO
NENE
PUNPEE
STUTS on the WAVE
swetty
唾奇
Yo-Sea

NEW COMER SHOT LIVE
DAB
5Leaf
lilbesh ramko
Tade Dust

OPENING DJ
MARZY
(A to Z)

チケット:Sold Out

YouTube生配信
DAY 1 https://www.youtube.com/live/cnn17Qch2Iw
DAY 2 https://www.youtube.com/live/akuYSyDd0D8

オフィシャルサイト:https://popyours.jp/
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