中国のポータルサイト・百度に28日、反日感情の高まりによって「日本人街」とともに「日本による文化的な侵略」との非難が中国のネット上で噴出している日本人学校について、「行き過ぎた詮索だ」とその風潮を嗜める洪詩鴻・阪南大学教授が文章が掲載された。
 
 文章は、近頃中国に存在する日本人学校についての問い合わせが増えているとしたうえで、日本人学校は中国国内だけでなく世界の日本企業が集中して駐在している都市に100校あまり存在していると紹介。
海外に赴任する日本企業駐在員の任期は通常3~5年で、家族を連れて赴任するケースが多く、子どもたちの教育が問題になるとした。そして、当初は私立の子弟学校の形式で対応していたものの、やがて日本政府に海外赴任者の子女への教育支援を求める声が高まり、日本政府が出資し、教員を派遣して教材を提供する日本人学校が設立されるようになったと説明している。
 
 その上で、現在日本国外に存在する100あまりの日本人学校の大部分は日本政府が費用を出し、教員も教員資格を持つ人による志願制で、選抜を行った上で派遣され、給料も日本の行政から支給されると開設。カリキュラムは日本本土の学校に準じており、親が赴任を終えて帰国した際に、子どもがスムーズに本土の学校で勉学を再開できるようになっていると伝えた。
 
 そして、日本人学校が基本的に日本国籍の子どもだけを受け入れているのは、日本国民の税金や公的な経費によって運営されているからだと指摘したほか、日本人学校には現地の日本人に学校教育を施すという目的以外に特殊な意味も任務もなく、教師もみな「普通の先生」なのだとした。さらに、閉鎖式管理を行って部外者を中に入れないのはセキュリティ意識の高さによるものだと説明。日本本土の学校でも同様のセキュリティ体制が取られており、その背景には今から十数年前に小中学校を襲撃する事件が相次いで発生したことがあり、それ以降学校の管理が厳しくなったのだと解説している。
 
 文章は「近頃の中国国内のニュースを見ると、実のところちょっと深読みしすぎである」とし、確かに日本は外交や政治で「インチキを働くことが多く、警戒しなければいけない」ものの、企業の経済活動や正常な民間交流については、平常心をもって扱うべきだと主張した。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
編集部おすすめ