近年、中国のネット上では「内巻」という言葉がよく使われている。これは、もともとは英語のインボリューションを訳した言葉で、社会や組織が一定の段階にまで発展すると停滞して低水準のままになることを指す言葉だが、中国では「皆が疲弊する悪性の競争」といった意味合いで使われている。
これは現在の中国社会をよく表していると言えるが、そんな中国からすると日本や韓国の方がよほど「内巻化」しているように見えるようだ。中国メディアの網易はこのほど、「中国の内巻は日韓に及ばないが、今の日韓は将来の中国なのか」と題する記事を掲載し、中国社会の先行きについて考察した。
まず記事は、韓国の「内巻化」は大学受験によく表れていると紹介した。人生を左右すると言われるほど大学受験が重視されている韓国では、学生や親たちが受けるプレッシャーが非常に大きく、まさに過当競争になっていると指摘した。また、生活が大変なので出生率も減少しており、経済面でも「内巻化」が深刻だとしている。
日本の「内巻化」については、かつて電子製品の分野で大きな成功を収めたものの、その後は没落し停滞していると主張した。加えて、自然災害が頻発するため多くの力を災害対策に費やさざるを得ないので、どうしても内向きになると説明している。また、日本人のプロ意識や匠の精神も競争を激化させ、「内巻化」を深刻にしているという。
では、中国の「内巻化」はどのような現状なのだろうか。記事によると、教育を重視する面では韓国に劣らないほどなので、大学受験のプレッシャーは非常に大きいと指摘した。さらに、高すぎる住宅価格もあらゆる年齢層の人にプレッシャーを与えているという。こうした要素が内巻化を深刻化させているようだ。
しかし記事は、中国政府はすでに対策を始めており、教育や不動産分野での改革を進めているので、日韓と同じ道を歩むことはないと主張した。確かに、中国政府は「双減」と呼ばれる宿題と塾をなくす政策や、不動産バブルを抑える政策を実行しているが、これに伴い中国経済が減速しているとも言われており、中国は難しい局面に立たされていると言えそうだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)