2025年6月25日、中国メディアの観察者網は、イスラエルからの軍事攻撃を受けたイラン国内の様子について、現地に滞在していた中国人学生の見解を報じた。
記事は、イランのテヘラン大学を訪問中にイスラエルからの空爆が始まり、今月18日に緊急帰国した西北大学中東研究所の博士課程生、謝書縁(シエ・シューユアン)氏の話を伝えている。
謝氏はまず、13日に始まったイスラエルによる空爆について当初はイラン国内で大きなパニックにはならなかったものの、13日夜から14日未明にかけての大規模な空爆によって市民の認識が大きく変わり、戦争が日常生活に影響を与え始めたと感じるようになったと紹介。政府は迅速に戦時体制に移行してインターネット規制を強化し、市民の間では避難の動きも見られたとしたほか、市民らは政治的イデオロギーや派閥を超越した「戦争は望まないが、自国が蹂躙(じゅうりん)されることは望んでいない」という「素朴な愛国心」を抱いているとの見方を示した。
また、イラン国内の政治情勢については、イスラエルからの攻撃に加えて米国からも核開発施設への爆撃を受けたことから、改革派への支持が弱まる可能性がある一方で、革命防衛隊の役割が一層際立つことになると予測。市民の間では核保有について平和利用への支持から、「核抑止力を持つことが制裁への対抗策になる」との考え方へと変わりつつあるとした。
さらに、イラン国民が抱える米国に対する複雑な心情についても分析。トランプ政権による核合意離脱やソレイマニ将軍暗殺が米国への政治的信頼を大きく削ぎ、改革派、保守派問わず、多くのイラン人がトランプ氏との交渉を「非常に危険」と見る一方、一部の国民からは米国の介入によってイスラム共和国を転覆させ、西側との統合による経済発展を望む声も聞かれるとした。
謝氏はこのほか、イランの知識層には欧米での留学経験を持ちながらも西側諸国の覇権に反対してイスラム共和国の体制を強く支持する人が多いと指摘。イラン側は西側を十分に理解している一方で、西側学者のイランに対する理解には一部問題があるとの認識を示した。(編集・翻訳/川尻)