深セン証券取引所の創業板への上場を目指す、湖南軍信環保(301109/深セン)が3月31日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。6834万株を発行予定で、公募価格は34.81元。
公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2011年設立の民営企業で、17年に株式会社化した。固形廃棄物の処理業務に特化し、都市の循環経済の発展と生態文明建設を促進する環境保護型企業であり、湖南省長沙市や平江県のゴミ焼却発電、汚泥処理、浸出液処理、埋立ゴミ、灰塵処理などを手掛けている。長沙市で運営する都市固形廃棄物創造処理所は焼却能力7800トン/日、汚泥処理能力1000トン/日、浸出液処理能力2700立方メートル/日、ゴミ埋立処理能力4000トン/日、灰塵処理能力410トン/日となっており、運営規模、管理技術レベルいずれにおいても業界上位である。
 
 中国の環境保護産業は、国の環境保護への取り組み強化に伴い急速に成長してきた。2017年における中国の環境汚染対策投資総額は約9538億元で、05年の2388億元から4倍となり、年平均12.23%のペースで増加した。一方、18年の大、中都市における固形廃棄物産出量は約18億1000万トンで、そのうち約3億トンが未処理、未利用となっており、処理または利用率のさらなる向上が課題となっている。中国共産党・政府は18年より固形廃棄物管理を重視し、20年に固形廃棄物環境汚染防止法を改正して施行、固形廃棄物の無害化、有効利用に取り組んでいる。
 
 固形廃棄物の無害化では焼却処理が有効とされており、廃棄物の軽量化を実現するだけでなく、熱エネルギーによる発電も可能だ。中国では固形廃棄物の増加に伴って焼却処理のニーズが急速に高まっている。2010年における固形廃棄物の焼却処理比率はわずか6.7%だったが、20年には20%に達し、30年には30%にまで高まると予測されており、同社のような固形廃棄物のクリーン処理企業がますます重要な役割を担うことになる。
 
 同社は高い技術力、運営能力により湖南省内で一定の知名度、評価を得ているものの、国内の大手固形廃棄物処理企業に比べると業務の対象範囲が限定されており、業界内の競争がますます激しくなる中で、さらなる業績の拡大が難しくなる可能性がある。
2021年4月にはインドネシアの東ジャカルタ、南ジャカルタの生活ゴミ処理プロジェクトへの入札を行うなど、「一帯一路」沿線国での生活ゴミ処理事業への参入に乗り出し、市場や売上の拡大を目指している。
 
 2021年12月期の売上高は20億6338万元(前期比87.35%増)、純利益は4億4725万元(同7.68%増)。22年1~3月期の業績予測は、売上高が3億5747万~3億6951万元(前年同期比31.21~33.46%減)、純利益が1億710万~1億1859万元(同51.07~67.28%増)となっている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
編集部おすすめ