深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、深セン市智立方自動化設備(301312/深セン)が6月29日、新規上場(IPO)に向けた公募を開始する。1024万株を発行予定で、公募価格は72.33元。
公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2011年設立の民営企業で、20年に株式会社化した。工業用自動化設備、自動化設備部品の研究開発、生産、販売を手掛けており、自動化テスト設備、自動化組み立て設備事業が業務の柱となっている。主に、コンシューマーエレクトロニクス、自動車電子、半導体などの分野向けに、工学、電気学、力学、音声学などの機能テスト、製品組み立てセクションの自動化ソリューションを提供する。コンシューマーエレクトロニクス分野では、米アップルの光学認証、光学センサーの自動化テスト設備サプライヤーとなっているなど、国際的な大手企業との取引関係も持っている。
 
 工業用自動化設備は工場の規模拡大、効率や精度の工場、インテリジェント化、安全な生産を支える存在であり、その発展の見通しは明るい。IoTや5G通信技術、人工知能(AI)技術の発展に伴って工業用自動化設備の市場規模も2011年の1653億米ドルから19年には2180億ドルにまで拡大した。特に、ローエンドからミドルレンジ、ハイエンドへと製造業のモデルチェンジを急速進めている中国市場の潜在性は大きい。また、中国政府による各種設備、部品、材料の国産化推進によって同社を含む中国の工業用自動化設備産業は顕著に成長しており、輸入品から国産品への置き換えの流れの中で市場シェア、競争力を高めていくことが予想される。

 同社は豊富な技術的な蓄積と先進的な技術開発力、アップルをはじめとする国内外の著名企業を顧客に持っていること、顧客のニーズに合わせた短期間での開発、生産能力、グローバルな技術サービスネットワークを構築していること、国内外の優れた人材を確保するとともに充実した研修、マネジメント体制を整えていることなどを強みとしている。一方で、生産能力に限界があり顧客からの大規模な発注への対応、さらなる市場開拓が難しくなっていること、資金調達力の弱さで研究開発の強化や優秀な人材の呼び込みが制約されていることがボトルネックとなっている。

 また、直接的、間接的な注文を含めたアップルからの注文が売上全体の7割前後を占め、アップルに大きく依存している状態にあること、同時にコンシューマーエレクトロニクス分野に売上が集中しており、他分野の市場開拓が不十分であること、輸出による売上が全体の50%前後を占め、世界の景気や貿易政策、貿易摩擦による影響を受けやすいこと、粗利率の低い光学認証向けテスト設備・組み立て設備の比率上昇と競争激化による利益の減少といったリスクを抱えている。


 2021年12月期の売上高は5億4852万元(前期比55.19%増)、純利益は1億1494万元(同23.48%増)。22年1~3月期の売上高は1億1395万元(前年同期比25.70%増)、純利益は2822万元(同62.42%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
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