内外環境の不透明感が投資家心理を冷やす流れ。取引時間中に公表された中国経済統計では、今年1~3月期GDP成長率が5.3%に拡大し、予想(4.3%)を上回ったものの、3月の小売売上高や鉱工業生産が予想を大幅に下回っている。不動産関連の統計も前年割れが続いた。先行して発表された3月の金融と貿易の統計が下振れていたこともあり、足元の景気鈍化が懸念されている。外部環境もネガティブ。中東地域の地政学リスクが高まっているほか、米長期債利回りの上昇基調も嫌気された。米中金利差の拡大が警戒される中、上海外国為替市場では、対米ドルの人民元安が進行している。中国人民銀行(中央銀行)は朝方、人民元レートの対米ドル基準値を約1カ月ぶりの元安水準に設定。市場では、当局は元安を容認しているとの声も聞かれている。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382/HK)が6.4%安、マカオ・カジノの金沙中国(1928/HK)が6.0%安、太陽光発電(PV)用ガラス基板メーカーの信義光能HD(968/HK)が5.2%安と下げが目立った。
セクター別では、新興EV(電気自動車)関連が安い。
半導体セクターもさえない。ASMPT(522/HK)が5.3%安、華虹半導体(1347/HK)が4.4%安、上海復旦微電子集団(1385/HK)が3.8%安、晶門半導体(2878/HK)が3.6%安で引けた。
セメントや鉄鋼、非鉄など素材セクターも売られる。中国西部水泥(2233/HK)が4.5%安、華潤建材科技HD(1313/HK)が3.5%安、馬鞍山鋼鉄(323/HK)が4.3%安、鞍鋼(347/HK)が3.7%安、江西カン鋒リ業(1772/HK)が7.2%安、新疆新キン鉱業(3833/HK)が7.0%安で取引を終えた。
一方、本土マーケットは反落。主要指標の上海総合指数は、前日比1.65%安の3007.07ポイントで取引を終了した。不動産株が安い。ハイテク株、消費関連株、素材株、インフラ関連株、公益株、運輸株なども売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)