投資家の慎重スタンスが継続する流れ。貿易問題を巡る不透明感が重しだ。トランプ米大統領は26日、欧州連合(EU)からの輸入品に対する50%関税の発動を7月9日まで延期する(当初は6月1日)と表明したが、交渉の難航も予想されている。同様に、米中の貿易交渉も気がかりだ。両国は先週、対話を継続することで合意したとはいえ、通商対立は根深いものがある。
もっとも、下値を叩くような売りはみられない。中国景気の持ち直しが期待されている。中国国家統計局が27日、中国工業企業の利益総額は、2025年4月に前年同月比で3.0%増加し、2カ月連続でプラス成長を達成したと報告した。また、格付け大手のムーディーズ・レーティングスは26日、中国の格付け「A1」を据え置いた。これを受けて中国財政部は、外部環境の不安定化にもかかわらず、中国経済は力強さと活力を十分に発揮したなどとする声明を発表している。指数はプラス圏で推移する場面もみられた。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、産金で中国最大手の紫金鉱業集団(2899/HK)が3.6%安、中国電子商取引(Eコマース)大手の京東集団(JDドットコム:9618/HK)と民間自動車メーカーの吉利汽車HD(175/HK)がそろって3.2%安と下げが目立った。
セクター別では、自動車が安い。吉利のほか、比亜迪(BYD:1211/HK)が3.6%、浙江零ホウ科技(9863/HK)が2.5%、理想汽車(2015/HK)が2.4%、東風汽車集団(489/HK)が2.3%ずつ下落した。BYDが期間限定で一部車種を大幅値引きしたことに端を発し、販売競争が激化するとの不安が強まっている。
半導体セクターもさえない。英諾賽科(蘇州)科技(2577/HK)が2.8%安、晶門半導体(2878/HK)が2.6%安、上海復旦微電子集団(1385/HK)が2.0%安、華虹半導体(1347/HK)が1.6%安で引けた。
半面、医薬セクターはしっかり。信達生物製薬(1801/HK)が5.0%高、石薬集団(1093/HK)が4.4%高、緑葉製薬集団(2186/HK)が4.2%高、中国生物製薬(1177/HK)が3.4%高で前場取引を終えた。
消費関連の一角も物色される。フィギュア・玩具の泡泡瑪特国際集団(ポップ・マート:9992/HK)が5.8%、酒造の青島ビール(168/HK)が4.4%、組み立てキャラクター玩具の布魯可集団(325/HK)が3.7%、ハイパーマーケットの高キン零售(6808/HK)が3.0%、食品・飲料の統一企業中国HD(220/HK)が2.5%、レストランの九毛九国際HD(9922/HK)とスポーツ用品の安踏体育用品(2020/HK)がそろって1.7%ずつ上昇した。
本土マーケットは4日続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.33%安の3335.76ポイントで前場取引を終了した。ハイテクが安い。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)