事業を総合的に強化中国郵政、検品会社との連携で

 佐川急便の現地法人、上海保利佐川物流が中国における物流サービスの総合強化を進めている。グループが業務提携している中国郵政局傘下の中国速逓服務公司との国際物流をこのほど本格化。
10月にも稼動する深?の物流センターでは検品専門会社ファッションクロスフルシマと提携した検品、物流の一環サービスも提供する。また、国内物流の強化も進め、自社車両による拠点間物流を強化していくほか、昆山、北京、佛山にも新たな物流センターを構築する計画だ。一連の事業強化策について、董事長で総経理の鳥海志郎氏に話を聞いた。

――上海保利佐川物流は04年5月、佐川急便と国営のコングロマリット中国保利集団傘下の保利科技との合弁事業として設立。これに先駆け03年に設立した保利佐川物流(本社は深セン)をはじめとし、北京、天津、大連、青島、広州、深センなど沿海7都市で総合物流サービスを提供している。

 「当グループは大きく分けて国際物流、国際貿易、国内輸送・国内物流を手掛けている。その中でも大きな柱となっている国際物流部門では、中国郵政局傘下の中国速逓服務公司との事業提携を軸に展開している。これはそれぞれが日本、中国の国内物流を請け負い、双方の持つ集配ネットワークを共有化するものだ。当グループにとっては中国で中国郵政の持つ6万6000カ所の拠点網、5万台の集配車、40万人のスタッフを活用できることになる。両国間でデータの共通化も図っており、配送状況もトレーシングできるなど、日系企業にとっても使える巨大な配送網となっている。当グループでは、前日18時までに集荷したものを翌日18時までに東京23区、大阪府内に届ける翌日配達の『クーリエ便』サービスや、格安運賃で提供する配達日数がプラス1―2日の『ECO便』サービスもある。こうした豊富なメニューで、今後も様々な企業の様々な要望に応じたサービスを拡張、アピールしていきたい」

――国際貿易部門では検品専門会社のファッションクロスフルシマと提携した検品、物流の一環サービスを提供するが、これを雛形として年内にも、華東地域や全国の主要都市へと段階的に拡大していく。


 「保利佐川物流が10月にも華南地区を対象とした総合物流センターをオープンする。延べ床面積1万6000平米(第1期部分)に、冷凍、冷蔵などを含む一般倉庫、監管倉庫、保税倉庫の機能を備える複合倉庫となっている。この物流センターの目玉が、新サービスの『海上eグローバル』だ。検品専門会社のファッションクロスフルシマが当物流センターに入居しており、日系企業は日本への輸入前に適確な検品、検針を受けることができる。それぞれの製品にはタグが貼られデータ管理されており、日本の佐川急便の物流センターに着いたその日にすぐに日本国内の物流網に流すことができる。これにより既存の一般的な国際物流と比べて、少なくとも1―3日は納期を短期化できる。さらには、この『海上eグローバル』を中国全土で手掛けていくことを構想している。ファッションクロスフルシマは北京、大連、青島、常州、南京、珠海、東莞、華東地域では上海、南通に拠点を持っている。そして上海商検局により≪国家質量監督検験検疫総局発行 輸出入商品検験鑑定機構資格証書 国家検検許字【131】号 ≫を認証されており、第3者検品を行う上で最良のパートナーと考えている。そこに当グループの物流機能を合わせることで、中国全土で検品、物流の一環サービスを提供できることになる」

――グループでは北京、天津、大連、青島、広州などに全国6カ所に物流センターを展開しており、中国速逓服務公司と連携した中国国内代金引換サービスも手掛けている。

 「自社倉庫では日系企業の商品在庫を抱え、オーダーにあわせたピッキング、パッキング、そして全国への配送や個配も手掛けている。この分野も今後力を入れ、新たな顧客の獲得を進めていく。
特に、日系企業においては中国国内の内販をすすめる動きが強まっているが、そのニーズにも対応していきたい。例えば、上海には上海大衆佐川という個配の物流会社があり、在庫から商品出荷、先々の配送にまで対応できる。それにプラスして全国への代引きサービスの提案を進めながら通販会社などのニーズも取り込んでいきたい」

――先々には国内物流の強化を課題としており、拠点間物流にも力を入れていく。

 「一般的に佐川急便はイコール物流会社としてのイメージが強いが、中国において当グループはまだまだこれからという段階だ。企業の内販をサポートしていく上でも、国内の物流センター同士を結ぶ拠点間物流に力を入れていく。上海に近い昆山に新たな物流センターを構える計画で、華東地域の供給基地として、物流網の軸としてアピールしていく。また、北京や佛山にも物流センターを展開する方針で、中国国内で計画的に物流網を構築していく。こういったことを通して、まずは華北、華東、華南をそれぞれ結ぶ物流ネットワークを築いていきたい」

このインタビュー記事は、『ウェネバー上海』による提供です。

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