【中国】「琴(きん)」17億円で落札、バイオリン抜き楽器で最高額
北京市で行われたオークションで、宋・徽宗の御物で清・乾隆帝の「松石間意」の銘がある「琴(きん)」が、1億3664万元(約17億140万円)で落札された。これまで「高価な楽器」としては17-18世紀ごろイタリアで製作されたバイオリンが有名だったが、取り引きの最高価格は4億円程度。宋徽宗皇帝の御物の琴は、世界最高価格の楽器とみられる。<br><br>【関連写真】<br>・<a href="http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0706&f=national_0706_035.shtml&pt=large" target="_blank">台湾先住民の子ら、失われゆく伝統「鼻笛」の響きを披露=福建</a>(2010/07/06)<br>・<a href="http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0312&f=national_0312_006.shtml&pt=large" target="_blank">歌って踊る民族の祭典、トン族自立の女神の日―広西</a>(2009/03/12)<br>・<a href="http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=1122&f=national_1122_007.shtml&pt=large" target="_blank">キン族の音楽家、伝統の「一弦琴」で妙なる音色を披露</a>(2008/11/22)<br>・<a href="http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=1117&f=national_1117_005.shtml&pt=large" target="_blank">湖北で世界民族楽器展、国際的視野で文化を考える試み</a>(2008/11/17)<br>・<a href="http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=1012&f=national_1012_007.shtml&pt=large" target="_blank">「キンキン」した音だけですけど…“黄金琴”を発売</a>(2008/10/12)<br>"(サーチナ&CNSPHOTO) 画像(1枚)
 北京市で行われたオークションで、宋・徽宗の御物で清・乾隆帝の「松石間意」の銘がある「琴(きん)」が、1億3664万元(約17億140万円)で落札された。これまで「高価な楽器」としては17-18世紀ごろイタリアで製作されたバイオリンが有名だったが、取り引きの最高価格は4億円程度。
「松石間意」は、世界最高価格の楽器になったという。中国青年網が報じた。

 (写真は11月に江蘇省蘇州市でオークションに出された明代の琴「無底古琴」。5800万元(約7億2200万円)で落札した)

 「琴(きん)」は孔子や李白なども愛した、由緒ある楽器。日本の「お琴(おこと)」とは異なり弦は7本。琴柱(ことじ)はなく左手で弦を押さえることなどで、音高を作る。日本ではそれほど知られていないが、世界的には「中国を代表する楽器」と認識されており、世界遺産にも登録された。漢詩などに登場する「琴」は、「こと」ではなく「きん」を指す。

 上流階級に愛された楽器であるため、中国大陸では文化大革命期などに「批判の対象」となった。台湾や香港、海外華僑などの間では一貫して重視されており、古い名器が高額で取り引きされていた。中国大陸でも1980年代ごろから再評価されることになり、琴を求める裕福な人が増えたことで、価格が跳ね上がった。1980年代には中国大陸では数万円で取り引きされたレベルの楽器が、現在では1000万円でも入手が困難なケースがあるという。


 バイオリンでは、伝説的な製作者として知られるストラスバリウスが手がけた楽器「ハンメル」が2006年、米ニューヨークで開催されたオークションで、354万ドル(約4億円)で落札された。「松石間意」の落札価格は、「ハンメル」を大きく上回り、楽器として世界最高額とされる。オークションにおける落札者の名は非公開だ。

 「松石間意」は1120年の製作。文人皇帝として知られる宋・徽宗の御物であり、清・乾隆帝の銘があることで、さらに人気を呼んだ。宋代の琴は現在でも十分に演奏でき、むしろ後世に作られた楽器よりも「演奏効果」がよいものが多い。

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◆解説◆
 「琴」は、他の楽器との区別を分かりやすくするため「古琴」、「七弦琴」と呼ばれることも多い。遣唐使などにより日本にも伝わり、源氏物語にも登場する。日本では忘れられ、江戸時代に儒学との関係で一部の武士などが愛好したが、一般に定着するには至らなかった。

 一方、日本で「お琴(おこと)」と呼ばれる楽器は、中国から伝わった「筝(そう)」の系統の弦楽器。古い日本語では、弦楽器全体を「こと」と総称した、源氏物語では「琴(きん)」が「きむのこと(琴のこと)」、筝は「そうのこと」、琵琶は「びわのこと」と書かれている。日本では「琴(きん)」が知られなくなった影響で、「筝」も「琴」の文字であらわし、「こと」と読むようになった。
(編集担当:如月隼人)

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