北京のローカル紙、北京晨報は26日、「なぜ違法『日本幼稚園』が息を吹き返したのか」という記事を掲載、通園していた娘が大怪我をしたという日本人保護者の証言を紹介するとともに、この幼稚園が違法経営をしていると指摘した。

 違法性を指摘されたのは、日本人女性が園長を務める北京市内の日本人幼稚園。
2006年にオープンしたという。記事ではまず、2カ月ほど前に娘が園内で遊んでいたときにイスがぶつかって大ケガをしたという日本人保護者の「口頭謝罪はあったが、娘のためにも引き続き通園させることを求めてきた。拒否すると園の代表者は姿を見せなくなり、弁護士をよこしてきた」という言い分を紹介した。

 そして、保護者とともに記者が市内の別荘エリアにあるというこの幼稚園を潜入取材して以下の問題点を指摘するとともに、月5600元(約7万円、保護者の説明による)という月謝の高さも「違法幼稚園であるのに驚き」とした。

 1.同園は他地域の工商局に3歳以下の児童を扱う「託児所」登録をしているのみであるにもかかわらず、幼稚園として3歳以上の保育も行なっており、違法である。

 2.園の面積、部屋割り、防火消毒設備が国家の幼稚園規定に著しく反している。

 3.給食が国家の検査を受けておらず、安全性の保障がない。

 4.使用しているスクールバスは未登録であり、事故を起こしたときの責任が負えない。

 5.幼稚園の教諭、園長が無資格である。

 6.衛生条件が整っていない。

 最近になって違法性を知ったというこの保護者は、日本人の親は中国の法律を理解していないことや、日本語で保育を受けたいことから容易に「騙される」と語り、さらに「北京日本人学校の付属幼稚園との誤解を招く」ような同園のホームページの誇大宣伝も問題がある、と指摘した。

 記事ではまた、同園はこれまでにしばしば営業停止命令を受けてきたにもかかわらず、そのたびにすぐに経営を再開し、ホームページも途切れることなく運営され続けてきたとも紹介した。
なお、北京晨報では1年ほど前にも同園の違法性を指摘する記事を掲載していた。(編集担当:柳川俊之)

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