南京農業大学の汪良駒教授は、「そもそも、使用方法が間違い」と指摘。スイカの果実が大きくなる前に使用すべきで、収穫直前に使ったのでは、果実内部で不均一で大きな力が発生して、“爆発”してもおかしくないという。スイカの爆発が始まった8日には、雨の影響で土中から大量に水分を吸い上げることで、“爆発”しやすい状態になったと考えられる。
ただし、汪教授は、「スイカが次々に“爆発”した具体的な原因は、調査する必要がある」と述べた。
中国農業大学食品科学・栄養工程学部の馮双慶教授によると、「膨張促進剤」には、果実の細胞分裂を促す働きがある。もともとは米国で開発され、日本では1985年に導入された。しかし、果実の形が悪くなったり、腐りやすくなるなどで、日本では使われなくなった。
中国では1980年代末期に日本から導入された。2007年には「果旺」などという商標の新製品も登場するなど、広りつづけたという。
スイカ膨張促進剤の人体に対する影響は定説がないが、植物ホルモンと人体に影響があるホルモンは系統が違うので、人体に影響を与える可能性は低く、現在のところも副作用の報告はない。
中国人民大学農業・農村発展学部の鄭風田副院長は、「スイカ爆発事件」は、中国の食の安全に存在する問題が表面化したものとの見方を示した。
鄭副院長は、「世界の農業には大きな2つの傾向がある」と指摘。「1つは各種の新技術を次から次に導入する考え方で、米国に代表される。もう1つ新技術の導入には慎重な姿勢で、日本や欧州でみられる」という。
米国の場合、大企業が農場を経営している場合が多く、新技術に飛びつく傾向があるが、基準を定めて順守する。ところが中国では、日本と同様に小規模な農家がほとんどなのに、新たな方法に飛びつき、乱用を始める特徴があるという。(編集担当:如月隼人)
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