「中国のハワイ」といわれる海南島が、戦略的な経済特区として大きく生まれ変わろうとしている。4月13日に習近平国家主席が、海南省海口市で開かれた「海南省設立・経済特区建設30周年祝賀大会」で中国共産党中央委員会総書記としての重要談話を発表し、「海南島に自由貿易試験区(FTZ)を設置する」という党中央の決定を発表した。


 海南島のFTZは、「高標準・高クオリティの特大FTZ」と表現され、「国内企業と比較して、差別的な取り扱いをしない」という内外待遇一律の原則を徹底する。外資には禁止事項を設けたうえで、それ以外の投資は原則自由とする「ネガティブリスト方式」を導入する。中でも、種苗、医療、教育、スポーツ、通信、インターネット、文化、金融、海運物流などの重点領域や、現代農業、ハイテク産業、現代サービス業といった業種で対外開放を推進。観光、現代サービス、先進テクノロジーを軸とした産業育成に注力するとしている。

 海南島の面積は約3万5000平方キロメートル。海南省政府では、海南島全島を対象にした自由貿易港政策プラン案をまとめている。中国政府も、自国の関税法を適用しないで外国貨物・船舶の自由な出入を認める自由貿易港の建設に積極スタンスだ。この計画が実行されれば、香港やシンガポールの1000平方キロ、ドバイの4000平方キロをはるかに上回る世界最大規模の「自由貿易港」が誕生する見通しだ。この面積は、日本の四国を上回り、九州よりも10%程度小さい程度になる。

 海南島は、1988年に広東省から分離して省に昇格すると同時に経済特区となった。2010年には「国際観光島」として中国政府が大規模開発に乗り出し、ノービザ・免税などによる観光産業の推進を図ってきた。今後の課題は、自由港としては、港湾整備が急がれる。
海南島の港に設けられた航路は水深が浅く、5000TEU以上貨物船の停泊は不可能。足もとでは、グローバル規模の輸送船大型化が進み、2万TEU級の超大型コンテナ船も徐々に増えてきていることから、自由港としての発展のためには、これらの大型船の停泊に耐えうる施設が不可欠だ。(写真は、海南島の南端にある三亜市の遠景。提供:123RF)


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