安全保障などを理由に、米国をはじめ、オーストラリア、ニュージーランド、日本などで華為技術(ファーウェイ)やZTE(中興通訊)など中国通信設備メーカーの製品を政府調達から排除する動きが広がるなか、中国の一部で反発の声が高まっている。中には、米アップルのiPhoneを購入すると罰金を科したり、ボーナスを支払わないなどという罰則を設ける中国企業も現れているという。
複数の中国メディアが10日、この事態を報じている。

 深セン市(広東省)に拠点を置くハイテク企業の夢派科技集団(Menpad)は7日、ファーウェイやZTEのスマートフォンを新たに購入する従業員に対し、市場価格の15%を補助する方針を表明。逆に、米アップルのスマホを購入した従業員に対しては、市場価格と同額の罰金を科すと通知した。また、オフィスで米国ブランドのパソコンを使用することや、従業員が米国車を購入することも禁止している。

 こうした動きは、上海市や成都市(四川省)、西安市(陝西省)など各地の企業で報告されているという。湛江市(広東省)のホテル運営会社では、スマホをアップル製に買い替えた従業員について、「年末ボーナスを放棄したと見なす」と通知したそうだ。

 ファーウェイやZTEの製品を排除する動きは、米国が8月に「国防権限法」によって政府機関や政府と地理引きのある企業で2社の機器やサービスの利用を禁じた。米政府は2社と中国政府の関係を警戒し、2社の携帯電話や半導体にはウイルスが仕込まれ、中国による不正傍受やサイバー攻撃に利用される恐れがあると主張。日本を含む同盟国に両者の製品を利用することを自粛するように呼びかけた。

 これに応えて、オーストラリアが8月にファーウェイとZTEに対し、5G技術の提供を禁止する通知を行い、ニュージーランド政府も11月にファーウェイの5G機器を使用する計画を却下した。また、日本も12月に情報通信機器の政府調達の際に安全保障上のリスクを低減させる運用を申し合わせ、名指しこそしなかったものの、ファーウェイとZTEの製品を政府調達から排除する意志を示した。これを受けて、日本の民間通信大手も基地局などの通信設備から中国メーカーの製品を除外する方針を固めたと伝えられている。


 世界の移動体通信機器市場において、ファーウェイは22%を占めるトップ(2017年の調査)、フィンランドのノキア、スウェーデンのエリクソンを挟んで、ZTEが10%のシェアで4位を占めた。5Gにおいても、ファーウェイとZTEが世界で主導的な地位を占めることは間違いないとみられていた。今回の政府調達からの排除は、ファーウェイやZTEの成長戦略を大きく躓かせることにもつながりかねない。

 しかも、カナダ司法省は今月5日、米国の要請を受け、ファーウェイの副会長兼CFO(最高財務責任者)の孟晩舟氏をバンクーバーで逮捕したと発表。11日に保釈されたようだが、孟晩舟氏には多額の保釈金が求められ、厳しい監視下に置かれている。ファーウェイは6日、逮捕の事実を認めた上で、「孟氏の不正行為について認識していない。カナダと米国の司法が公正な結論を下すと信じている」とのコメントを発表している。そのうえで、「自社は事業展開する世界各国で法律を順守している」と強調している。

 11日には、ファーウェイの孟晩舟氏が逮捕されたことへの報復なのか、カナダの元外交官マイケル・コブリグ氏が中国国内で拘束されたということも伝わっている。中国の一部の国内企業に見られる米国への反発は、どこまで広がりを見せるのだろうか。(イメージ写真提供:123RF)


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