INCIRプロジェクトは16日に東京・渋谷でメディア向け説明会を開催し、事業化に向けた計画を説明した。インサーの代表取締役CEOの横地俊哉氏(写真)は、「中国をはじめとしたアジア地域でQRコードをスキャンしてスマートフォンで決済する方法が普及しているが、より信頼性の高い決済手段としてIC系電子マネーを使ったタッチ決済が求められている。日本では、おサイフケータイやSuica(スイカ)などで使われているFeliCa(フェリカ)のタッチ決済が普及しているが、FeliCaが使えるのは日本と香港くらい。Apple PayやSumsung Payなどが使っているNFC(TypeA/B)のタッチ決済が国際標準であり、今後の主流になっていくと考えられる。
VISA、Master、AMEXなどといったクレジットカード会社も、NFCタッチ決済の普及に熱心に取り組んでいるため、遠からず世界的な潮流になってくると考えられる。タッチ決済の良さは、クレジットカードを手渡す必要がないこと、また、その場で決済が終わる速さがある。日本でもFaliCa型のタッチ決済と並行して、NFC決済端末を導入する動きになってきた。ローソン、マクドナルドなどに続いて、今春からはイオングループ(イオン、マックスバリュ、ミニストップやダイエーなど)でも導入される。インバウンドで訪日する海外の人たちが決済に使いたいのは、NFCタッチ決済なので、2020年の東京オリンピックなどを控えて、NFCタッチ端末の普及が進むだろう」と見通している。
INCIRプロジェクトは、NFCチップが搭載されていない格安スマートフォン向けにNFCとアンテナ、セキュア機能を備えたSDカードを提供。また、複数のクレジットカードや電子マネーが登録できるスマートフォン向けウォレットアプリ「INCIR WALLET」を提供することで、スマホによるタッチ決済を提供する。
横地氏は、「INCIRの主戦場は、低価格スマホが急速に普及しているアジアの決済市場。今でこそ、QR決済が中心になっているが、本命はタッチ決済になると考えられる。日本国内の事業者との連携によって、使い勝手の良いINCIRプラットフォームを構築し、アジアの低価格Androidスマートフォンの決済手段としてマーケットシェアを取っていきたい」と語っていた。
当初の提携企業それぞれの役割は、ビックカメラグループのオムニチャネル戦略を進めるRanet社は、CIMフリー端末の販促の一環としてフリーペーパー「スマチョク」を発行し、ビックカメラの店頭で配布する他、INCIRのSDカードなどの利用を働き掛けていく。リアル店舗でのマーケティングをインサー社と共同で開発する。
日立ハイテクノロジーズ社は、先端産業分野の商社として、INCIRのアジア戦略をサポート。慶応大学SFC研究所は、HTML5での「INCIR HOME」の運営などをサポートし、世界標準の認証方法などでも共同研究を進める。また、NEC-PCは、パソコンでも展開する「INCIR HOME」を搭載したデバイスの提供やクラウドを含めたPC戦略を共同で取り組む。そして、広告代理店であるDACは「INCIR HOME」でのオンライン広告の効率化等で連携していく。
横地氏は、「INCIRプロジェクトは事業会社や大学とのオープンイノベーションとして多くの機関と連携しながら事業領域を広げていきたいと考えている」と、引き続き連携先の拡大を進めると語っていた。(写真は「INCIRプロジェクト」メディア向け説明会で、インサー代表取締役CEOの横地俊哉氏)
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