2020年度(4-12月)のチルド麺市場は前年比二ケタ増で好調に推移している。コロナ禍を受けた内食増、外食自粛などで間口と奥行が大幅に拡大したことが主因。
「当社もプレミアムタイプを中心に好調に推移し、市場と同程度の成長で着地する見込み」と語る日清食品チルドの伊地知稔彦社長に、今期の業績や来期の方針などについて話を聞いた。

  ◇  ◇

2020年度のチルド麺市場は、前年比二ケタ増で着地するものとみている。ラーメンジャンルの伸びが一番大きく、マーケット全体を押し上げている。ラーメンジャンルの中でも、特につけ麺とまぜ麺の伸びが大きい。弊社では、「本格」をテーマとした「行列のできる店のラーメン」「つけ麺の達人」「まぜ麺の匠」や有名店シリーズといった2食タイプで実勢売価が250円を超えるプレミアムタイプの商品が、コロナ禍において非常に堅調だった。

コロナ前と比べると昼食、夕食とも家で食事をする機会が増える、という流れが続いている。われわれの商品は特に昼食マーケットを中心に消費されているが、家庭内で食事を摂られる機会が増えたことで市場が拡大しているのだろう。

また、月ごとに新しいユーザーが増加している。これまでチルド麺を利用していなかった方々が多く購入してくださっている。従来のチルド麺ユーザー(50代以上)と比べ、20代、30代といった若年層の購入が顕著だ。単身世帯、若年層が増えてきたことで、(そうした)ユーザーが外食でよく食べる、つけ麺やまぜ麺といったメニューが家庭内で消費される機会が増えたものと考えている。

しかし、チルド麺売場でつけ麺やまぜ麺商品が売られていることを知らない消費者が大勢いる。
来期はさらに取扱率も上がっていくと考えており、(来期投入予定の)TVCM効果、消費者の認知、店頭での露出が拡大する中、引き続き二ケタ成長を期待したい。

昨秋、「おいしいeco麺」プロジェクトをスタートさせた。日清食品ホールディングスが2030年までの環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE2030」を掲げ、地球資源を取り巻く環境の保護および資源の有効活用と事業活動全般におけるCO2排出量削減に取り組む中、チルド事業においても環境面で貢献できるテーマを掲げ取り組みを始めている。食品ロス、水の使用量やCO2排出量の削減、プラスチック原料(の使用量)の削減など、地球環境や社会問題の解決に取り組み、生活者に対しても新しい価値を提供していくことが企業として事業としての持続的な成長につながると考える。

今期の伸長は大きいが、「今期の着地を超えていく」つもりで目標を立てなくてはならない。そのために、どのような商品を構え、どのように売っていくか、ということを考えなければならない。今年の異常値に対し、さらにその上を目指すべく努めていく。
編集部おすすめ