
全国トップの生産量を誇るそば専業メーカーのおびなたでは、今年に入り販売量が一昨年比1割高く推移している。そば市場は近年そば粉を5割以上配合した高配合そばがトレンドで、コロナ前はこれらの商品群が牽引していたが、現在は通常商品を含めて全体的に伸長傾向にある。
群馬県の星野物産でも、首都圏中心に配荷する「上州手振りうどん」が一昨年比1割増のペースが続いている。乾麺の美味しさ、1食当たりの手頃な価格、常温保存の便利さが再認識されたことにより「つゆ以外で食べるアレンジレシピが普及している」と分析。SNSでは、うどんや干し中華麺を使ったサラダめんやまぜそばなどの写真が増えているという。
また昨年春に生産が追いつかないほど需要が伸びたため、食品スーパーや卸からの注文も旺盛だ。特にPB受託率が高い大規模メーカーでは、今年に入っても好調が続く。さぬきうどんメーカーのなかには、昨年秋に既に今年の注文が確定したところもある。「通常は市況や天候要因から生産計画を立てるが、今年は早期に決まり生産しやすい」と話す。
反動減で市場後退が懸念されたが、ふたをあけてみれば市場は順調に進み、最需要期の7~8月商戦に期待が集まる。
全国乾麺協同組合連合会の髙尾政秀会長は、「特需の時に食べた消費者のうちの何%かが、乾麺ファンになってくれたと推測する。
市場調査会社のインテージによると、乾麺市場は2020年に421億8千万円、前年比117.4%と伸長。月別でみると2~4月が130%を上回り、特に3月は166.5%と大幅伸長した。10月は前年の大型台風の影響で備蓄需要が高まった反動でわずかに下回ったものの、それ以外の月は外出自粛に伴う備蓄・内食需要が続いた。
インテージ市場アナリストの中林令王氏は「20年を種類別にみると、どの種類でも前年を上回っているが、とりわけうどんが122.6%、そばが126.4%と大きく伸長した。季節を問わず食事に用いることができることから、夏場に需要が集中する手延べそうめん、そうめん、ひやむぎよりも大きく伸長した」と説明する。