
プレミアムタイプのコーヒー飲料は過去にも「スターバックス」や「イリー」のブランドを冠にしたものなど数々発売されたが定着には至らなかった。
“ちょっと高いコーヒー飲料”の登場には、コロナ禍の外出自粛によって家庭内でハンドドリップなどして飲まれるレギュラーコーヒーの拡大が背景にあると思われる。
インテージSRIによると、20年レギュラーコーヒーの販売金額は前年同期比10・9%増を記録した。この中で、缶やPETのコーヒー飲料ユーザーもレギュラーコーヒー品質に触れて味覚水準が引き上げられたという仮説が有力視されており、この仮説の下、各社とも定着化に向け高価格帯に挑んでいる模様。(図表下記事続く)
レギュラーコーヒー市場 出典:インテージ 飲料最大手のコカ・コーラシステムは、欧州のカフェブランド「コスタコーヒー」を導入し、4月26日に「コスタ ブラック」(270㎖・税別158円)と「コスタ カフェラテ」(270㎖・税別167円)のPET2品を新発売した。
日本コカ・コーラの調べによると、コーヒー総市場は3兆円規模。この中でユーザー数は、PETや缶のコーヒー飲料(RTDコーヒー)が600万人規模に対し、レギュラーコーヒーなど手いれの非RTDコーヒーは4千万人規模に上る。

UCC上島珈琲は、コーヒー飲料で新ブランド「ORIGIN BLACK」を立ち上げ、ダウントレンドにあるボトル缶コーヒー市場に挑む。5月にブランド第一弾となる「ORIGIN BLACKブルーマウンテン&モカ」(275㎖ボトル缶・税別178円)を期間限定発売し、存在感を示している。
同社は市場環境について、ブラックカテゴリーの中でボトル缶はPETとほぼ同じ約4割の市場構成比を占めていることと、ブラックが本格コーヒーを嗜好するヘビーユーザーから高く支持されている点に着目し、コク・プレミアム・嗜好性へとシフトしている外食トレンドにも商機を見いだす。

日本でブランド初となるブラック無糖のショート缶コーヒー「スターバックス ブラックコーヒーショット」(165㎖缶・135円)に挑むのは、スターバックス・コーポレーションとサントリー食品インターナショナルで、5月からAmazon.co.jp限定で発売している。
新興勢力では、スペシャルティコーヒー専門店の丸山珈琲が6月から、ホンジュラス産のスペシャルティコーヒー100%使用した「丸山珈琲のブラックアイスコーヒー(無糖)」(500㎖PET・税込214円)を全国各地の一部スーパーや直営店、オンラインストアで販売している。
