大手ビールメーカー4社の発表によると、8月のビール類市場は前年同月比80%程度(数量ベース)と推定される。コロナ禍による業務用低迷が響いている。
家庭用市場では、ビール減税・第3のビール(新ジャンル)増税を実施した昨年10月の酒税率改定以来、ビール缶は堅調、新ジャンルは苦戦が続いているが、8月はビールも厳しかった。

一方で健康イメージの商品は堅調だ。キリンビールのビール類は86%、アサヒビール77%、サントリービール76%、サッポロビール81%(アサヒは金額、他は数量)。

狭義のビール市場は約80%。新型コロナウイルス感染拡大、酒類提供自粛、天候不順の影響で業務用市場全体は大幅減。酒税率改定以来、缶は堅調なものの、巣ごもり需要が一巡してしまい一服したとの見方も広がっている。

キリンビールが扱う狭義のビールは92%と市場の動きを上回った。「一番搾り」は74%だったが、「同 糖質ゼロ」「スプリングバレー豊潤〈496〉」といった新商品が寄与した。

アサヒビールの主力「スーパードライ」は74%(数量)、今年累計では89%。「同」缶は悪天候の影響もあり前年割れだが、累計では106%と前年超え。

サントリービールは83%だが、「パーフェクトサントリービール」が寄与してビール缶は125%と好調。「パーフェクトサントリービール」は発売4か月で累計販売本数5千万本を突破。


サッポロビールは79%。「黒ラベル」は81%、「ヱビス」単体は80%だが、「黒ラベル」缶は単月・累計ともに前年超え。

新ジャンル市場は76%程度。酒税率改定以来、落ち込みが続いている。23年にはさらに増税も予定されており、各社ともに、それまでにブランドを強固にして生き残りを図っていく構え。

キリンは78%。「のどごし〈生〉」70%、「本麒麟」72%。アサヒ「クリアアサヒ」72%。サントリー74%。サッポロ82%。「ゴールドスター」97%、「麦とホップ」ブランド72%。

市況が悪い中でも健康志向品は堅調だ。
健康イメージの文脈でとらえられやすい発泡酒市場は97%と健闘した。「スタイルフリー」は102%と前年超えを果たしている。

サントリーの糖質オフ商品は、8月単月では前年並み、今年累計でも120%と好調。キリン「一番搾り 糖質ゼロ」の好調もあり、今後も健康志向品への需要は続くとみられている。
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