
サントリー食品インターナショナルは、法人向け新サービスとして「社長のおごり自販機」を首都圏から順次、展開していく。
職場のコミュニケーション活性化を目的としたサービスで、社員2人がそろい自販機の対象部分に社員証を同時にタッチすると、それぞれ1本ずつ飲料が無料でもらえる仕組みになっている。
テスト展開したところ、利用した社員らから「社長ごちそうさまです!」の言葉が散見されたことから、このサービスを「社長のおごり自販機」と命名した。
この趣旨から、設置先ごとにアレンジが可能。「工場長のおごり自販機」「支店長のおごり自販機」というのもありうる。利用の上限回数を設定するなどカスタマイズもできる。
自販機事業は、メーカーや自販機オペレーターが消費者と直に接する小売業で、今回のサービスは、このとらえ方が起点となっている。
コンビニやスーパーなど、ほかの小売業がセルフレジなどを導入して進化しているのと比べて自販機は変化が乏しく、サントリーではこれを課題視。アイデアを社内公募したところ、職場内のコミュニケーションがリモートワークの普及・時差出勤などで減少していることに着目した今回の案が浮上した。
同社のグループ会社で自販機などによる直販事業を営むサントリービバレッジソリューションの須野原剛事業推進本部長は「特にわれわれが着目したのが、同僚との雑談が減っているということ。「ちょっとしたことが聞きにくい」「新しい人に出会わない」「いいアイデアが浮かばない」ということで、生産性の低下や若い人の孤立が新たな経営課題になっている」と説明する。
社員証を2人で同時にタッチ。
サービス開始に先立ち実証実験で導入しているコクヨでは、アンケートに対して利用者の97.8%が「社長のおごり自販機がコミュニケーションのきっかけになった」と回答した。
コクヨの黒田英邦社長は「3、4か月実験した結果、1か月平均1千回使われ好意的に受け取られている。これからはハイブリッドワークで、リモートワークとオフィスワークをどうつなげていくかというところにニーズが移っている。その中でオフィスでは、一人でできる仕事よりも、人とのつながりや情報交換をどう生み出していくかがわれわれの業界でのテーマ」と述べる。