
■最新フードテクノロジ―を駆使した「完全メシ」
「完全メシ」は、「日本人の食事摂取基準」で設定された33種類の栄養素とおいしさの完全なバランスを追求したブランド。三大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)をはじめ、ビタミン、ミネラル、必須脂肪酸などがバランス良く整えられ、さらにおいしさも実現している。22年5月の発売以来、常温食品(カップ麺、カップライス、スムージー等)や冷凍食品などトータルのシリーズ累計出荷数は3500万食(24年11月末時点)を突破した。
開発にあたっては、日清食品がこれまでインスタントラ―メンやカップライス等の事業で培ってきた最新のフードテクノロジーを投入。すでに約500種類もの食事メニューを「完全メシ」化できるという。市販品のみならず、社食事業や小売・外食との協業などBtoBにも積極的に展開する。
■「かつ丼」から「肉まん」まで選べる28メニュー
「冷凍 完全メシ DELIじっくり煮込んだボロネーゼ」「冷凍 完全メシ DELI」シリーズは、昨年12月に従来品のパッケージを一新し、メニューを大幅に拡充する形でスタートした。キャッチコピーは「こんなにおいしくて、大事な栄養マルっと。」。
マーケティングを担当する堀部浩稔BtoCフローズングループブランドマネージャー(BM)は「販売は絶好調。30代を中心に共働き世帯や単身世帯などアクティブな層の購入が多い」とし、「サブスク(定期コース)がメインなので毎日食べても飽きがこないようにするのが大切。『冷凍 完全メシ DELI』シリーズは日清食品が得意とする麺類、米飯類はもちろん、「お好み焼」「ピザ」「肉まん」といった幅広い層から人気のメニューが豊富に揃っていることが強み」と語る。
一番人気は「やわらかロースかつ丼」。1食566kcalと一般的なかつ丼に比べてカロリーを大幅に抑えつつ、やわらかい食感と厚みにこだわったロース肉は食べ応え抜群で、ふっくらとした食感のごはんともよく合う。「じっくり煮込んだボロネーゼ」も売れ筋の上位。丁寧に煮込んだ牛肉と香味野菜のうまみをきかせたコク深いソースがアルデンテ食感のパスタによく絡む。
一方、販売が伸びている背景には圧倒的なリピート率の高さがある。堀部BMは「定期コースの継続率は約9割に達する。ユーザー数が着実に増えることで売上も伸びてきた。豊富なメニューバリエーションと、『完全メシ』ならではの栄養とおいしさのバランスにご満足していただけているのでは」と自信をのぞかせる。
■遂に完成!「牛カレーうどん」「ちゃんぽん」

言うまでもなく「チキンラーメン」「カップヌードル」などインスタントラーメンを発明した同社だけに、“日清食品といえばラーメン”との期待が高まるところだが、「『完全メシ』でおいしい汁あり麺の開発は非常にハードルが高い」(堀部BM)という。「完全メシ」は栄養素とおいしさの完全なバランスを実現するため、一般的な商品に比べて開発上の制約が多いからだ。
特に汁あり麺では大きな課題が3つあった。まずは食塩相当量3g未満(1食当たり)に抑えること。一般的にスープのしっかりとした味作りに調味料の食塩は不可欠だ。2つ目はスープを飲み切れるおいしさを担保すること。すでに製品化している「汁なし担々麺」などはタレをそのまま麺に和えるため味わいをコントロールしやすいが、スープの量が多い商品は塩分を控えると物足りなく感じやすい。さらに「完全メシ」は1食トータルで栄養バランスを整えるという商品設計のため、スープを最後の一滴まで飲み干してもらう必要がある。これらをクリアすべく、スープの味わいや量など試行錯誤を重ねた。
1年以上の開発期間を経て、遂に「完全メシ」初の汁あり麺が完成。
堀部BMは「栄養バランスが整っていて、しかもおいしい汁あり麺はまだ世間にもほとんどない。価値あるチャレンジになった」とコメント。
「まだまだ課題は多い」としながらも、将来的には王道のラーメンも商品化を目指す。
■「おにぎり」で女性・朝食シーンを開拓

人気上位アイテムは「ほぐし鮭と大葉」「ツナマヨ味五目ごはん」「紀州産梅と蒸し鶏」など。
堀部BMは「定番具材を中心に豊富なバリエーションをそろえたことと、女性に人気のもち麦や雑穀を使用し腹持ちが良く、プチプチとした食感を楽しめることがポイント。加えて『おにぎり』は朝に食べていただけるケースが多いようだ。既存の『かつ丼』『ボロネーゼ』などは昼食・夕食が中心と見ており、新たな食シーンを掘り起こせた手応えも感じている」。
■おいしさに磨き、将来の飛躍期す
「完全メシ」ブランドの開発背景には、安藤徳隆社長が掲げる壮大なビジョンがある。
矢島取締役は「『冷凍 完全メシ DELI』のポテンシャルはまだまだ大きい。さらに飛躍させるには、大きな可能性を秘めた『完全メシ』ブランドそのものの認知度を高めていく必要がある。われわれのミッションの1つは『完全メシ』をはじめとした最適化栄養食を普及させることで“好きなものを、好きなときに、好きなだけ楽しめる世界”を実現すること。その一翼を担う存在として『冷凍 完全メシ DELI』への期待も大きい」と話す。
当面の方針について、堀部BMは「現行のシリーズを立ち上げて約1年が経過したが、サービスの主体がサブスクであるため、まずはバラエティ感を重視して28品まで一気にラインアップを増やしてきた。今後は既存メニューをもっとおいしくブラッシュアップすることにも注力し、その上で魅力的なメニューの開発に取り組み、随時、新商品として発売していきたい」と説明。
今後に向けては「『完全メシ』のコンセプトは現代社会のニーズに合致していて、ますますその重要性が高まると考えている。なかでもサブスク形態の『冷凍 完全メシ DELI』シリーズは、『完全メシ』の強みを最大限に活かせる商品だと考えている。成長をさらに加速させていきたい」と展望する。