「当社はいつまでも挑戦者。いくら業界の中で規模が大きくてもお客様の支持がなければ意味がない」と話すのは3月1日付でイオンリテールの新社長に就任した古澤康之氏。
「お客様が本当に求めるもの、身近に欲しいものは必ずある。マスマーケットに向けた提案だけでなく、小さなニーズに応える商品やサービスも積み重ねていけば大きな魅力になる」と力を込める。

このほど「そよら入曽駅前」(埼玉県狭山市)のグランドオープンにあわせて、トップ就任後初となる記者会見に臨んだ。

1995年にジャスコ(現イオン)へ入社して以降、2014年5月から北京イオン社長、18年2月からまいばすけっと社長を歴任し、21年3月にイオンベトナム社長に就任。今年2月まで成長著しいベトナムでの陣頭指揮を執ってきた。

同国と日本の違いを問われ、「(ベトナムは)平均年齢が33歳と若く、経済成長率も6~7%と高い。すでにスーパー同士の競争が激しくなっている日本のマーケットとは環境が大きく異なる」としつつも、顧客となる生活者との向き合い方は本質的に同様であると強調。

「ベトナムでも節約志向が高まっていた。原因は教育費、通信費、エネルギーコストの上昇など。そこでわれわれが取り組んだのは顧客に必要とされるトレンドを先んじて創造し、実際に提供することだ。当然ながら市場とお客様は異なるが、日本でもやるべき課題は同じだと思う。国内小売業の最大手として、マーケティング力も発揮しながら先駆者になっていきたい。
それを実現するためには7万人以上の全従業員がお客様としっかり向き合い、一丸となって商品やサービスを提供していくことが不可欠」との決意を口にした。

一方、「ベトナムでは衣食住とも取引先の数が少なく、商品やサービスの開発に限界があった。その点で日本は非常に多くの企業とコラボレーションできることに可能性を感じる。シニア層はもちろん、若い世代に向けた取り組みも注力していきたい」と意欲を示した。

2020年から展開する小商圏向けの都市型ショッピングセンター(SC)「そよら」の印象については「これから間違いなくニーズが高まっていく業態」と評価。「都市部に近い住宅街を主な商圏としているが、若い世代からシニア層まで幅広いニーズに対し、ワンストップで日常に必要な商品を揃えられる。店内の通路を広く取るなどお買い物しやすい環境を整えていることも特徴。イオンスタイルを核に専門店を組み合わせ、時間消費・コト消費の両面で快適にお過ごしいただける」と期待を寄せた。

GMS(総合スーパー)の出店は「チャンスがあれば積極的に検討する。並行してスクラップ&ビルドや改装を進めながら既存資産を最大限に活用することも使命」とした。
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