
同社の前3月期決算は売上高6712億円(19%増)、営業利益99億円(45・7%減)。
25年度の方針について、大森社長は「グループ一体経営を推進し、米国ブラマー社の収益改善を急ぐ」としたうえで、「事業戦略の実行スピードを上げる」と語った。
業績面ではブラマー社の損失が響いたが、カカオショックを背景に不二製油が得意とするチョコレート代用脂やコンパウンドチョコレートの需要が拡大しており、既存事業の強化により収益拡大につなげる。
世界トップ3のシェアを誇るCBEの販売数量は前期24%増と大きく伸長。カカオ高騰で需要の高まりが続くなか、CBEの原料であるパーム油、ひまわり油、シアのサプライチェーンを強化する。マレーシアでは26年度中に新工場が稼働予定で、高品質かつサステナブルなパーム油の供給を拡大。ひまわり油では4月にフランスPH社をグループ化、シアではフジオイルガーナの分別設備を増強し、グローバルサプライチェーンを整備することで高まる需要に応える。
地球環境や食料供給、高齢化や人手不足など、社会課題解決に向けた「挑戦領域の拡大」も進める。「植物性食をはじめ、おいしさ・健康・サステナブルをキーワードにした新製品や新市場開拓により、次なる収益の柱に育成する」(大森社長)。
「CPチョコレートシリーズ」カカオショックで注目 コンパウンドチョコレート
例えば、カカオショックによるチョコレート価格高騰が続く中、油脂技術を活用したコンパウンドチョコレートの提案を強化。日本市場は、ピュアチョコレートのようなクオリティを実現した「CPチョコレートシリーズ」をはじめ、カカオ豆由来の原料不使用のミルクチョコレートタイプ「アノザM」など、カカオ原料高騰の影響を軽減し、ユーザーの魅力的なチョコレート製品づくりを支援する新製品が注目されている。
油脂事業では、近年供給不安が続く動物性油脂の代替として、植物性油脂を使用した代替脂を開発した。
そのほか、乳化発酵事業では、独自のUSS製法による豆乳クリームバター「ソイレブール」や豆乳由来の「やみつき新食感プリン」、大豆加工素材事業では、スナック向けの高たんぱくな大豆パフなど、同社の素材を活用したアプリケーション提案にも力を入れる。