漬物の素や米こうじ製品を手掛ける厚生産業(岐阜県揖斐郡、里村俊介社長)は6月11日、今年5月1日付で宏昌食糧研究所(以下宏昌食糧、愛知県西尾市、堀川敬生社長)の「漬物の素」に関する事業を譲り受けたと発表した。

第1弾として、「熟成あじつけみりん粕」などの粕商品4品を引き継ぎ、6月16日から出荷を開始。
宏昌食糧の主要取引先である静岡、愛知のJA直売所、グリーンセンター、Aコープ店を中心に販売を行う。また、全国に販売ルートを持つ自社の強みを生かして、宏昌ブランドの販路拡大もにらむ。

宏昌食糧は昭和37年創業。静岡や愛知を中心に、調味済みの粕漬けなど地域に根ざした独自の漬物の素を開発・販売してきた。

今回の事業譲受については、今年3月に宏昌食糧サイドから相談を受け、4月に詳細確認、商談を実施。厚生産業サイドも「地域に根付いている発酵文化を残したい」「長年愛されてきた宏昌ブランドならではの味を守りたい」などの想いから、最終的に漬物の素事業の商標権も含めた営業権(製造販売する権利)を買い取ることを決定した。今後の製造は協力工場が行い、倉庫、納品業務は厚生産業が担う。譲渡金額については非公表。

第1弾商品は「熟成あじつけみりん粕」のほか、「熟成あじつけ酒粕」「あじつけ味噌みりん粕」「一夜漬け粕」の計4品。ブランドロゴおよびパッケージは現行のものを継続。第2弾、第3弾商品の投入も予定する。

自社既存事業への影響については、「自社商品で提供できていない調味済みの粕漬けの素を提供できるという点に価値(宏昌食糧の強み)を感じている。
粕漬け類商品は既存ラインアップにはないので売上純増の予定。その他漬物の素商品に関しては、多少のカニバリは発生するものの売上アップに貢献する見込み」とのこと。

厚生産業・里村社長も「全国各地それぞれに特色のある漬物が存在しており、今回受け継ぐ宏昌ブランドの『味付け粕漬けの素シリーズ』も地元の漬物文化を支える商品の一つ。それを途絶えさせてはいけないと考えた。“漬物を漬ける文化を受け継ぎ、守り、時代に合わせて進化させていく”という思いのもとで、新たに加わった宏昌ブランドとともに厚生産業グループの商品供給を通して、その使命を果たしていきたい」としている。
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