
こう疑問を投げかけると、小学生からは様々な意見が飛び交うという。
7月2日、日本総合研究所が開催した協創型実証実験「みんなで減CO2プロジェクト」25年度計画会で、「雪の宿」を販売する三幸製菓の秦野勝義取締役経営本部長が明らかにした。
三幸製菓の出前授業は、冒頭の問いを投げかけながら、カーボンフットプリント(CFP)について児童が自然と学べる内容に仕立てられている。
出前授業では、米菓の製造工程や、その中でCO2が排出される工程、CO2排出削減の取り組みなどにも触れる。 「『雪の宿』に砂糖蜜をかける工程でCO2が排出される。このことを踏まえて “かけないほうがいいのか”、それとも“おいしく食べたいのか”といった問いかけを行うと、想定外の反応があったりして児童が楽しく考えるきっかけになっているようだ」と秦野取締役は語る。
三幸製菓の秦野勝義取締役経営本部長 環境問題の理解促進にあたっては、小学生の関心事を起点とする。
三幸製菓の総務部長兼社長室の島名達也氏は「“2100年には外遊びができなくなるような高温になるかもしれない”といった話をすると、児童にとって危機感がイメージしやすい」と述べる。
CFPの算定により社内の環境意識も高めていく。
秦野取締役は「当社は環境に対する取り組みが後手になっていた。出前授業などの活動をすることによって、従業員の会社に対する信頼感やロイヤリティが高まっている」との手応えを得る。
2024年から「みんなで減CO2プロジェクト」に参画しているカンロは、昨年、「カンロ飴」「健康のど飴たたかうマヌカハニー」「カンデミーナグミ スーパーベスト」のCFPを算定。今年はCFPの算定に「金のミルクキャンディ」「ピュレグミ グレープ」を新たに加えた。
カンロの松葉透経営企画本部サステナビリティ推進部長は「今は、包材など細かい部分までCO2排出量を算出し、CO2を最も排出しない組み合わせを調べている。環境への意識は社員一人一人異なり、CFPの算定に関しピンときていない社員も多いため、今後は社内外への情報発信に注力したい」と述べる。

3年目の展開となる今年は、従来からの大阪府に加えて、兵庫県、奈良県、京都府、横浜市と新たに連携。同自治体内の全小学校等に通う4-6年生約53万人と、その保護者を中心とした生活者に対し行動変容を促している。
日本総合研究所の創発戦略センターグリーン・マーケティング・ラボ ラボ長チーフスペシャリストの佐々木努氏は「社会的意義が大きい取り組み。今年は5つの自治体と連携ができたため、ゆくゆくは全国に広げていきたい」と意欲をのぞかせる。

これに合わせ、より多くのエコラベル・CFPを見つけた児童を自治体別に表彰するコンテストを開催することで参加促進を図っている。