
LEMONITYは、農業を営む鈴生(すずなり)が運営主体となり、鈴生・ポッカサッポロ・西本Wismettacホールディングスの3社が共同出資して9月3日に設立された。
広島県江田島市と静岡県磐田市の2拠点で大規模果樹経営を目指し、当面は農地確保や農地集約に取り組む。2035年に園地面積100ha・国産レモン収穫量3000トン(1ha当たり収穫量30トン換算)を見込む。
生産された国産レモンは、主に加工用としてポッカサッポロに販売され、西本Wismettacホールディングスには青果用として販売される。
9月8日、発表会に臨んだポッカサッポロの佐藤雅志社長は「仮に3000トンのうち50%がわれわれの加工用として調達できたとしても果汁ビジネスとしては大きなものではない。われわれは“まるごとレモン”で勝負していきたい。レモンの果皮や果肉、オイルなどBtoBを含め多岐にわたり手を広げていく。そういう意味で国産レモンがまるごと扱えるのは非常に大きな強みになる」と期待を寄せる。
同社のレモン調達量の割合は、果汁ベースで海外産約95%・国産約5%。加工用国産レモンの調達量は400~500トンで推移している。
同社は、商品・価値啓発・原料(生産振興)の三位一体でレモン事業を推進し“№1レモンカンパニー”を目指している。
「(LEMONITY設立により)果汁以外に果皮や果肉などに広げていくという考えが真実味を帯びて社員に伝わり、社員の士気が上がっている。LEMONITYの設立は、われわれのESGの考えに合致している。国産レモンを通じて市場拡大して経済的価値を高めていく一方で、地域への貢献や産地振興に貢献し社会的価値も高めていく。この両輪を回すことで結果として、レモンを通じて人々の豊かな暮らしや社会に貢献していきたい」との考えを明らかにする。
一般的に果樹は成木になるまで数年を要するため、大規模果樹経営には多額の初期投資と売り先の確保が求められる。
(左から)ポッカサッポロ佐藤雅志社長、LEMONITYの鈴木貴博社長、西本WismettacHDの新開裕之社長この点、LEMONITYはあらかじめ売り先を確保している点が強みとなりそうだ。LEMONITYの鈴木貴博社長(鈴生・社長)は「LEMONITYの使命は“レモンで、生産から販売までのバリューチェーンを統合する”ことにある。私がイメージするのは、契約栽培の一歩先」と意欲をのぞかせる。
契約栽培の一歩先として、世界に誇れるバリューチェーン一体型果樹モデルの確立をビジョンに掲げる。
今後の活動としては、行政の協力を得ながら農地の確保・集約・整備に注力していく。認定農業法人を取得し、最終的に農地所有適格法人化を目指す。
「利益を出せるくらいの、まとまった農地に集約して、スマート農業ができるように形を整えていくことが一番課題」と述べる。
アジア食の輸出・卸売や農産品の輸入・卸売などを手掛ける西本Wismettacホールディングスは、国産レモン需要のさらなる高まりを見込みLEMONITYに出資・参画した。
西本Wismettacホールディングスの新開裕之取締役社長執行役員COOは「輸入品だけではなく、国産品もうまく組み合わせることで安定的に消費者に提供していきたい」と語る。