北陸有力スーパーのアルビスと大阪屋ショップの2社は、将来を見据えた成長戦略の一環でプロセスセンター(PC)含めた物流体制を着々と構築している。

アルビスは昨年の金沢ディストリビューションセンター(DC)新設に続き、海産のPCが今年11月に新たに稼働する。
大阪屋は自社の在庫型では初の大型物流センター「射水DC」を物流新拠点として構える。26年5月下旬に稼働させる計画だ。両社は中京地区の岐阜、愛知への出店を強化しており、地盤の北陸含めた店舗への供給網を支えるインフラをより強固にして臨む。

中京地区出店を強化する背景には、北陸(富山、石川、福井)の人口減がある。人口減は北陸だけではないが、北陸の人口は現在280万人で、40年には3県で250万人を割る推計も示されている。一方、愛知県の人口は25年で745万人、岐阜県190万人と中京の2県で935万人と北陸に比べれば豊富な市場があるが、当然競合のスーパーなども格段に増える。

両社の中京1号店は、アルビスは19年、大阪屋は23年に出店し、直近の両社の中期3か年計画では、アルビスは11店舗(現在4店舗)を、大阪屋は8店舗(現在3店舗)を中京地区に出店する計画だ。

ただ、建築費は出店計画時より大きく高騰しており、「以前の新店投資額では、今は改装しか出来ない」(スーパー)状況にある。居抜き出店も見据える中で流動的な面もあるが、24年からの規制含めた物流問題の影響も大きく、後方支援となる物流網構築、生鮮・惣菜のPC整備はより重要性を増している。

アルビスはグロサリーの在庫型DCを24年10月に石川に新設し、既存の富山と2拠点体制を構築した。それぞれ常温、低温、生鮮のセンターを再整備し、富山60店、石川・福井40店の北陸100店舗への供給を可能とした。(前期末店舗数は68店舗 うち中京4店舗)。
また、PCでは既存の精肉・惣菜PCに加え、海産PCを25年11月に新設し、既存冷凍センターと合わせて北陸・中京の全店に配送する体制を整える。

大阪屋ショップは、既存の富山県射水市の物流センター隣接地に「射水DC」を26年5月下旬に稼働させる。同社は富山、石川、愛知に物流拠点があり、惣菜と生鮮のPCも有しているが、在庫型の大型物流センター開設は初となる。初年度取扱高は北陸・東海地区の約90店舗(外販先含む)200億円で、その1.5倍まで対応できる。同社の前期末店舗数は54店舗(うち中京3店舗)。今後の新店は、今秋に富山県魚津市に、来夏は愛知県日進市に中京4店舗目が控える。

人口減の時代に、人手不足やコスト高騰などの諸課題が加わる中、PC含む物流網構築で、物流費減、人時生産性向上、売上高労務費率減等をさらに追求し、今後の出店戦略を支えていく。

(9月22日付本紙に「北陸特集」。アルビス、大阪屋ショップ、カナカンなどの社長インタビュー掲載。)
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