「高額療養費の引き上げ延期」「全国の妊婦に13万円支給」.....の画像はこちら >>

自民の圧勝で終わった衆議院議員総選挙

高市首相の、高市首相による、高市首相のための選挙が終わった。その費用は、855億円! もし選挙をせず、このお金を国民のための政策に使ったら何ができたのか? 医療や労働問題などを中心に検証した!

* * *

【がんや難病研究のスピードが2倍に!】

今回の衆議院議員総選挙にかかった費用は、約855億円といわれている。

衆議院議員の任期は4年なので、最長4年に1回は選挙が行なわれる。

しかし、前回の選挙は約1年3ヵ月前だった(2024年10月27日)。しかも、高市首相は就任して約2ヵ月半で、大きな争点もなく「高市早苗が首相でよいのかを問う」といって解散・総選挙を行なったのだ。

こんなに早く、こんな理由で選挙をしたことに不満を持つ国民も多い。

「高額療養費の引き上げ延期」「全国の妊婦に13万円支給」......選挙費用「855億円」で何ができたのか!?

例えば、全国保険医団体連合会は1月24日に「850億円あれば、高額療養費の限度額の引き上げは中止できた」とXに投稿した。

政府は今年8月から高額療養の患者負担の月ごとの上限額を引き上げようとしている。8月以降、医療費が高額になった場合、自己負担が増えるのだ。しかし、もし選挙費用の855億円がこれに使えれば、負担増は1年間は先延ばしにできたという。

「高額療養費の引き上げ延期」「全国の妊婦に13万円支給」......選挙費用「855億円」で何ができたのか!?

では、今回、選挙を行なわなかったら、そのお金でほかに何ができたのか。

元厚生労働大臣で政治学者の舛添要一氏に聞いた。

「私はかつて厚労相をやっていたこともあって、厚労省の令和8年度予算概算要求を見てみたんです。すると、800億円を超える要求はとても少なく、ほとんどが数十億円程度です。

一番金額が近かったのは『質が高く効率的な医療提供体制の確保』の806億円。これは、地方や離島などでは医師不足が深刻化しているので、そのための対策。

また、看護師の確保や薬局機能および薬剤師サービスを向上させるという医療体制全体の質を高めるために使う予算です。選挙費用はそれほど大きな金額ということです。

ほかに『研究開発によるイノベーションの推進』が657億円。がんや難病に対する全ゲノム解析、ゲノム医療の推進です。

もし、これに855億円追加されると、がんや難病に対する研究や薬の開発スピードが2倍以上になるのではないでしょうか。1年待たなければいけなかった難病の人に対する薬の開発期間が半年に縮まるかもしれません。

次なる感染症危機に備えた体制強化』は371億円。

新型コロナ感染症で大変な思いをしたので、次の感染症に備えて研究開発をしようという予算は、選挙費用の半分以下です。

ドクターヘリによる救急医療や災害時などの緊急医療体制を強化する『救急・災害医療提供体制の確保』は124億円です。855億円でこれらを加速させられます」

ちなみに、ドクターヘリの1機当たりの年間運営費(ヘリのリース料や人件費、燃料費など)は約2億円といわれている。

855億円あれば47都道府県にそれぞれ1機配備し、それを9年間運営できる(現在、ドクターヘリは全国に57機配備)。

「労働に関するものでは『就職氷河期世代、障害者や高齢者等多様な人材の活躍促進』には501億円。就職氷河期世代を含む中高年が安心して働き続けられる職場環境をつくる政策です。

厚労省だけを見ても、855億円あれば多くの人が助かる政策がたくさんできますし、既存の政策でもスピードが速くなったり、規模を大きくすることができるんです」

このほかに855億円あれば、「全国の妊婦さんに13万円の支給」が可能(2025年の出生数約65万人で計算)だったり、「ひとり親世帯(全国約135万世帯)に1世帯当たり6万円の支給」が可能だったりもする。

「高額療養費の引き上げ延期」「全国の妊婦に13万円支給」......選挙費用「855億円」で何ができたのか!?

「高額療養費の引き上げ延期」「全国の妊婦に13万円支給」......選挙費用「855億円」で何ができたのか!?

【ロケット開発や戦闘機の購入も!】

「医療労働関係以外だと、昨年12月に打ち上げ失敗をしてしまったH3ロケット。H3ロケットは1機約50億円ですから、855億円あれば17回も打ち上げることができます。アメリカや中国に負けず、宇宙開発を進めることができるのではないでしょうか。

また、航空機関連でいうと、最新鋭のF35ステルス戦闘機は約200億円です。これが4機買えます。中国や北朝鮮、ロシアなどが軍備を増強していることに不安を抱えている人は多いでしょう。戦闘機の購入によって、不安を少しでも解消できるかもしれません。

防衛関連でいうと、昨年、引き渡しがあった最新鋭の潜水艦『らいげい』の建造費は約700億円でした。

最新の潜水艦をもう1隻建造できます。防衛予算はすごく高額なものが多いのですが、それも855億円あれば、できるものがかなりあります。

選挙費用は、予備費から支出されますが、それも結局は国民の税金です。しかも、今回は真冬の選挙ということで、雪国は投票所の除雪やポスター掲示板の設置に雪がないときと比べて費用がかさみます。855億円で済むかどうかまだわかりません」

「高額療養費の引き上げ延期」「全国の妊婦に13万円支給」......選挙費用「855億円」で何ができたのか!?

今回の総選挙は、国民のために本当にやる意味があった選挙なのか。ほかにもっと良いお金の使い道はなかったのだろうか。

いま一度、考えてみる必要があるかもしれない。

取材・文/村上隆保 イラスト/はまちゃん 写真/時事通信社

編集部おすすめ