「隣の芝は青い」の言葉通り、他人と自分を比較してしまうと、どうしても自分が人より劣っているように見えて、自己肯定感が下がってしまいやすい。

本当は比べるべきは他人ではなく、過去の自分。

昨日の自分と比べて少し進んでいれば、それは進歩。そうはわかっているのだが、なかなか他人と比べることはやめられない。

「人は努力と訓練によって、何者にでもなることができる」という楽観主義が、心理学者アルフレッド・アドラーの基本的な考え方。それはつまり、自分次第で未来は変えることができるということだ。

『自己肯定感を高める、アドラーの名言』(ぱる出版刊)は経済・経営ジャーナリストの桑原晃弥氏が、自己肯定感を高め自分を100%肯定できる考え方を、アドラーの名言と共に解説する一冊だ。

■難しそうなことで自分の可能性を信じてみる

自己肯定感を高めるには、自分に自信を持つことが大切だ。

自分の中には「嫌いな自分」「まったく自信の持てない自分」だけでなく、「好きな自分」「少しは自信を持てる自分」もいるだろう。まずはそんな自分を好きになり、ほんの少しの勇気を出す。

アドラーの特徴は、才能や遺伝の影響は認めず、誰でも、何でも、成し遂げることができるという点だ。最初から「できない」と諦めるのは、自分で自分の可能性を潰してしまうこと。難しそうなことでも自分の可能性を信じてやってみると、自分の成長にもつながるのだ。

■自分を成長させる3つの勇気

「勇気」はアドラーの心理学を特徴づける言葉の一つ。

そしてアドラーは「不完全である勇気」「失敗する勇気」「誤っていることが明らかにされる勇気」の3つの勇気が人生で必要としている。

自分は失敗することもある、不完全な人間だと認めてこそ、人は行動を起こすことができる。たとえ結果は不完全であっても、そこから「もっとこうしたらどうだろう」と考えながら改善を繰り返すことで、最後に100点になればそれでいいというのが「不完全である勇気」だ。
2つ目の「失敗する勇気」とは、大切なのは失敗を恐れることなく、挑戦することであり、失敗から多くのことを学んで成長すること。最後の「誤っていることが明らかにされる勇気」とは、失敗したことは素直に認め、なぜ失敗したのかをきちんと分析すること。そうすることで失敗は成長につながり、成功をもたらす。

人は成功からも、失敗からもたくさんのことを学ぶことができる。そのためにも、この3つの勇気を持つことが重要となるという。

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自己肯定感が下がったときに本書を読んでみるといいだろう。アドラーの名言から勇気を持ち、自分を信じる術を学ぶことで、人生は豊かなものになるはずだ。

(T・N/新刊JP編集部)