社会人になると、働いている時間が1日の多くを占めるようになる。そんな膨大な時間をつまらないものにするか、楽しく充実したものにするかは、自分らしく働けるかどうかにかかっている。

また、周囲の目を気にして自分を装っていると、人間関係もストレスに感じるだろう。自分らしく働くために大切なことが、「自分理念」=「自分のものさし」という発想をもつことだ。

◾️「自分のものさし」で人生のブレがなくなる

『自分のものさし仕事術』(吉野創著、ぱる出版刊)では、「自分らしさ」を見つめて「自分理念」を導きだし、それを存分に仕事や人生に活かす方法を紹介する。

優先順位がつけられない、仕事に対するモチベーションが上がらないといった悩みも、自分理念がないことが原因になっている。自分理念があれば、全ての行動に対して、判断基準が生まれ、迷うこともなくなる。
では、自分理念をつくるにはどうしたらいいのか。

本書では、3つの発想法を挙げている。

1.来し方(過去)からの発想自分がこれまでに育ってきた人生、生きてきた人生を振り返りながら考えていく方法。自分の人生観や仕事観が形成されてきた理由を感じ取ることができ、気づきを得ることができる。

2.志からの発想土台の上に建つ建物のようなものと考えるとわかりやすい。これまで積み重ねてきた土台の上にどんな建物を建てたいか、というところから発想してみる方法。「自分を知る→社会課題を考える→志を見出す」の3ステップで志を見出していく。

3.行く末(未来・ビジョン)からの発想目的地のようなものと考えるとよい。自分の未来に思いを馳せ、自分自身のビジョンをつくる、というアプローチをする。ビジョンで大切なことは、今の自分の状態で「できる、できない」を判断する必要は一切ないということ。「こうしたい、こうなりたい」という夢を文字にし、自分の望む未来のイメージを思い描く。

これら3つの発想法はどれからアプローチしてもかまわないが、過去→志→未来の順番で一通り取り組んで、文字にして客観的に見てみるのがよい。自分の中に新しい発見があり、より本質的な自分理念につながる。

自分理念がものごとや何かの選択、仕事での自分自身の判断基準になることで、迷ったり、悩むことも少なくなるだろう。自分らしく働く、自分らしく生きるためにも、自分理念という発想をもってみるのはプラスになる。4月という節目の時期に、これからの自分を考えるのに役立つ一冊だ。

(T・N/新刊JP編集部)