昨季のラツィオはマウリツィオ・サッリ前監督の下、セリエAを2位で終えたが、今季は一変して開幕から苦戦を強いられる。
アシスタントコーチを務めていたジョヴァンニ・マルトゥシエッロ氏が暫定監督を務めた第29節フロジノーネ戦は3-2と逆転勝利。インターナショナルマッチウィークに入った18日にトゥドール新監督の就任が伝えられていた。
シーズンも終盤に差し掛かった難しいタイミング、かつインターナショナルマッチウィーク中にクラブを託されることとなったトゥドール監督は、自身の初陣となるユヴェントス戦の前日会見にて現在のチーム状況に言及。選手たちは各国代表チームから帰ってきたばかりという状況もあり、「ベテラン選手は問題ないことも多いが、代表招集を受けていない選手たちが既に7、8回のトレーニングセッションをこなしているのに対して、代表に行っていた選手たちとはほとんど共に時間を過ごせていない」と本音を明かしつつも、「私たちはここまで良い準備をしてきたし、代表に行っていた選手たちも意欲が高い」と説明した。
また、トゥドール監督は「私の気持ちは常にポジティブだ。チームとして喜び、勝利するためにベストを尽くしたい」と意気込みを語っただけでなく、ラツィオを率いての初陣が、自身が現役時代に活躍したユヴェントスとなったことにも言及。「ユーヴェには本当に感謝している。当時のチームメイト、監督、コーチングスタッフから、プロフェッショナルとしての振る舞いを学んだ。
ここからラツィオはホーム&アウェイ形式で行われるコッパ・イタリア準決勝のユヴェントス戦も控えていることから、4月は過密日程のなかで進んでいく。「我々は1週間に3試合を戦うこととなる。5人の交代選手だけでなく、チームの全員が必要な選手だ。だからこそ、これまでのトレーニングが非常に重要なものだったんだ」と明かしたトゥドール監督は、個々の選手に関する質問にも回答。サッリ前監督体制では序列が下がっていた鎌田についても、次のような言葉で期待を寄せた。
「彼は完璧な選手だよ。運動量も豊富だし、1つ1つのプレーの質が高い。以前のサッカーよりも、私のサッカーの方が向いているタイプの選手だと思う。正しいメンタリティを備えているだけでなく、明るく、意欲的に取り組んでくれている」
鎌田だけでなく様々な選手について語ったトゥドール監督は「過去縛られてはならない。サッカーとは残酷なもので、手を差し伸べるのは正しいが、優先すべきはチームのこと、そして勝利だ」とも発言。これまでの序列が関係ないことを明かしつつも、あくまでチームを勝利へ導いてくれる存在を起用する意図を示唆した。
現在27歳の鎌田はフランクフルトで成功を収め、昨年夏にラツィオへ完全移籍加入。当初はインサイドハーフで定位置を得ていたものの、徐々にベンチを温める機会が増えていた。ラツィオではセリエAで20試合、CLで7試合、コッパ・イタリアで1試合に出場しているものの、うち先発出場したのは12試合のみ。ほとんどが途中出場という、個人としては難しいシーズンを過ごしていた。
このような状況から、鎌田は今季終了後にラツィオを離れる可能性も報じられているが、鎌田はトゥドール監督の信頼を掴み、ラツィオで輝きを放つことができるだろうか。