日本代表は8日、東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会・第1節でホンコン・チャイナ代表を6-1で破った。試合後、報道陣の取材に応じたMF久保藤次郎(柏レイソル)は「個人的にはほろ苦いデビュー戦になった」と、反省の色を隠さなかった。


 2025明治安田J1リーグを見ていた人ならば、日本代表が採用する「3-4-2-1」の右ウイングバックに、ピッタリと言えるような人材が柏にいることは周知の事実だっただろう。それほどまでに、リカルド・ロドリゲス監督が率いる柏において、久保が見せているパフォーマンスは、目を見張るものがあった。リーグ戦直近4試合で3ゴールと、目に見える結果も残し、今回日本代表に初招集された。

 自らのゴールで柏を勝利へ導いた2025明治安田J1リーグ第23節・FC東京戦(○1-0)からは中2日。同試合にフル出場していた久保にとって、難しいコンディションであったことは想像に難くないが、ホンコン・チャイナ代表戦では見事にスターティングイレブンの座を勝ち取ってみせた。「すごい嬉しかったです。準備もしやすかったので。途中交代で入るよりも、気持ちの面で楽でした」と語る。

 日本代表が序盤からゴールショーを披露するなかで、右サイドからの攻撃で決定機が生まれるシーンは少なかったが、そんな不安を一蹴したのが久保だった。26分、敵陣で大外まで広がると、事前に「狙っておくから」との言葉をかけられていたMF相馬勇紀(FC町田ゼルビア)からサイドチェンジのボールが届く。ファーストタッチは「ちょっとズレました」と狙い通りではなかったものの、「ただ、ズレた時は裏街道できたりする。“あるある”ですね」との言葉通り、2タッチ目で相手を置き去りに。
最後は中央へのグラウンダーの折り返しで、FWジャーメイン良(サンフレッチェ広島)の個人4点目をお膳立てした。

 63分にMF佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)と交代するまでプレーし、6-1での白星発進に貢献したが、「物足りないですね」と、本人の自己評価は決して高くない。「デビュー戦で1つアシストできたのは良かった」と、明確な数字での貢献には一定の手応えを示しつつも、「アピールしたい気持ちがちょっと先走ってしまいました。良い判断が取れず、体の力もうまく抜けず、堅いプレーになってしまった」と、口にするのは反省点ばかり。実際のプレー中にも、“迷い”があったという。

「縦に行ってクロスを上げるところをアピールしたかったのですが、『本当に仕掛ける場面だったのか?』『やり直してもいいんじゃないか?』など、迷いながら仕掛けていたので、結果的にコーナーは取れていましたが、相手を抜き切ってクロスを上げる点では、不完全燃焼でした」

 前述のアシストを経て、「ちょっとは楽になった」とのことだが、「相手が出てきてくれなかったので、難しいところはあった」。大外の幅を取り、縦にも横にも仕掛けられるだけでなく、スペースへの動き出しも抜群。そんなプレーを全面に押し出せたわけではなく、「『良いアピールになったかと?』と言われると難しい」と唇を噛む。

 だが、下を向いている時間はない。ここから中3日で中国代表戦、そこから中2日で韓国代表戦と、次から次へと試合がやってくるためだ。「今日はなかなかうまくいきませんでしたが、次は切り替えて、ちょっとずつ力を抜けていければ。後半は多少、力も抜けていた。
あのイメージで。落ち込んでいる暇もないので、次はどんな形で使ってもらえるかはわかりませんが、切り替えて自分のプレーを出していければいい」と久保。本領発揮は、ここからだ。


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