日曜日の午後、“ラ・カテドラル”に集まったビルバオニスタは、これまでに何度も何度も呼んできた名前を、今一度叫んだのだった。ニコ・ウィリアムズ、と。今夏の移籍市場において最も注目を浴びた去就は、「2035」と「WIN」として終止符が打たれた。しかもそれは、この1年限りではなく、この先の未来に渡る“狂騒曲”自体にさよならを告げたことを意味するものだ。そして17日、アスレティック・ビルバオの選手として2025-26シーズンのラ・リーガ開幕を迎えた“10番”は、『サン・マメス』で躍動した。まずは、自身が獲得したPKを沈めて先制点を挙げた後、FWマロアン・サンナディの2点目をお膳立てし、MFロベルト・ナバーロの3点目をアシスト。全得点に絡み、3-2の勝利に導いたパフォーマンスは、イケル・ムニアイン氏の後継は自分だ、という覚悟の証明に思えた。
そんなセビージャ戦後、インタビューに応じたニコ。2035年夏までの契約延長締結後…つまり事実上のワン・クラブ・マン宣言後最初の『サン・マメス』となったなか、感謝の意が込められた割れんばかりの声援を受けたウィリアムズ兄弟の弟は、「もう分かるだろう。僕らのサポーターは信じられないほど素晴らしいんだ。僕にとっては、家族のような存在だよ。ここでとても幸せだし、これからもここで彼らと一緒に歴史を作り続けたい。
さらに、ニコは「この気持ちをどう表現したらいいのか分からないんだ。ここに残ったのには理由がある。みんなのことをとても誇りに思うし、これからも愛を返していくために、ピッチ上で何かを届けられたらと思っている」と告白。続けて「サン・マメスはいつものように素晴らしかった。リーグ戦を最高の形でスタートさせたかったし、勝ち点3は非常に重要だ。さあ、次の試合に進もう」と次なる戦いを見据えた。
また、PKを獲得したシーンについては、「背中を押され、かかとを踏まれたような気がした。明らかにPKだったと思う」としつつ、「決め切らないといけない場面だったから、(決めることができて)とても嬉しかった」と振り返っている。
ゴールパフォーマンスでは、市内の象徴でもあるサン・アントン橋と教会が描かれたエンブレムに口付けをしたニコ。最愛のクラブに、自身のプロキャリアのすべてと言えるほどの時間を捧げることを誓った、今シーズンの活躍に期待せずにはいられない。
【ハイライト】ビルバオの勝利に貢献したニコ・ウィリアムズ