伝説の女悪魔“サキュバス”が営むシーシャ……というコンセプトカフェ・サキュバスシーシャのゲストとして見出され、現在は被写体モデルなどもこなしながら店舗運営にも携わる黒跪(くろき)カレンさん(@kuroki_karen)。謎多き美女の半生に迫った。

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DJ、モデル、店舗運営…マルチに活動

――普段は会社員だとか。

黒跪:そうなんです。もともと高卒でアパレル業界で働いていました。ひょんなことからクラブのDJになったのですが、根っこがオタクなのでアニメソング縛りのクラブでもDJをするようになって。そのあと、グラビアやインフルエンサーにも挑戦させてもらいました。

――多彩ですね。現在はお店の運営などもなさっている。

黒跪:たまたまなんですが、池袋で行われたサキュバスシーシャのゲスト出勤に選んでいただけて。そのあと、ご縁があってお店の立ち上げなどにも関わらせてもらっているんです。

“子どものように”扱われなかった

――幼い頃から、ゲームが身近にあったと伺いました。

黒跪:オタクとしての素地がそこで作られたかもしれませんね。母親が少し変わった人でして、普通の親なら子どもに進んで与えないようなゲームとかアニメも、買い与えてくれました。一緒にゲームをやったりしたのも思い出です。

――仲いいですね。


黒跪:いま、ようやく母親のことを理解できるようになったといったほうが正確かもしれません。たぶん似た者同士なんですよね。縛られた世界よりも、自由を求めるというか。もともと母はニューヨークで芸能事務所を経営していた人なんです。同じニューヨークで父と知り合い、私を妊娠して結婚したようです。ところが喧嘩が絶えず、私が4歳くらいのときに離婚しました。弟と私は、母に引き取られたんです。

――似た者同士だと衝突も多いですか。

黒跪:小3のとき、「あなた、私をバカにしてるよね」と言われたことがあるんです。私も冷めた小学生でしたから、「やれやれ」みたいな感じで対応したのを覚えています。高校のときには、母と喧嘩になって、警察が家に来たこともあります。母は私を子どものように扱わず、良くも悪くも「対等な女性」としてみていたと思います。


授業をボイコットして家出したことも

――精神的に自立していますね。

黒跪:それはあるかもしれません。昔から母に「勉強をしなさい」と言われたことはなくて。でも自分からやるタイプの子でした。成績も高校3年間ほぼトップで、3年生時には学年の最優秀生徒として表彰されたんです。

勉強自体は好きだったのに、小学生のときの担任の勉強の押し付けが本当に嫌で、友人と授業をボイコットしてそのまま家出しました。自転車で千葉県から埼玉県まで行って。私はすがすがしい気分だったのですが、ふと友人をみると、「帰りたい……」と言い出して。それで私たちの反抗の旅は終わりました。

――大人びているのに面白くもあるエピソードです。シングルマザーだったお母様は、そのあと、いろいろな異性と交際する。

黒跪:モテるんでしょうね。私の父と離婚したのち、一度結婚したのですがまた離婚し、いろいろな男性が家を出入りしていました。
はっきり自覚したことはないものの、たぶん当時の私は嫌だったのでしょうね。

――そのわりにはお母様に対してネガティブな感情がないですよね。

黒跪:そうですね。1つはあまり私自身が「お母さんらしくいてほしい」みたいな期待をしていなかったことが大きいでしょうね。もう1つは、母の立場にたてば、男性に頼らずに子ども2人を育てたのはすごいことだと思うんです。弟は軽度であるもののハンデがあり、やはり心配事も尽きなかったと思います。私は恋愛対象が男性ですが、向ける目は男性に対してのほうが厳しい自覚があります。

バイト先でのトラウマ体験

――並大抵の男性では満足できない?

黒跪:というよりも、モラハラなどをすぐに見抜けるんですよね。子どものときも、ヒステリーを起こす母に対してよりも、母と喧嘩をするような男性に対してのほうが厳しい目でみていました。

――モラハラを見抜くポイントは何でしょうか。

黒跪:たとえば女友だちと彼氏の会話を聞いていると、何となく分かるんですよね。あえて言語化するなら、「女性を小馬鹿にしている」しゃべり方というのでしょうか。その女性を愛おしく思って、可愛くて、からかってしまうというのとは違った物の言い方というか。


――実際に的中したことも多い。

黒跪:だいたい当たります。そのときは女友だちもモラに気づいていないし、言っても無駄なので言わないこともあります。ただ、のちによくよく話を聞いてみると、「あぁやっぱり」ということが多いですね。モラハラ気質のある男性は、女性もそうだし、もっといえば人類すべてを見下しているようなところがあります。だから、男性の内面としてタイプを挙げるなら、「人類に優しい人」になると思います。

――ご自身も、男性からの被害に遭ったことがあるのでしょうか。

黒跪:私の場合、モラハラではないのですが、高校時代のアルバイト先で当時の副店長から好かれてしまったことがありまして……。当時、副店長が今の私と同じくらいの年齢だったので更に驚くのですが。普通に業務をしていただけなのに、「付き合いたい」とかメールで送られてきたり。あるときは、夜中に「自宅マンションのそばに車を停めているから、少し会えない?」と連絡がきたんです。アルバイトとは言え仕事関連の人なのでむげにもできず、車に乗ったんです。
そうしたら、キスをされました。そのときは「いやいやいや……」みたいに穏便に済ませたのですが、今考えると犯罪ですよね。

――とんでもない話ですね。

黒跪:関連するかはわかりませんが、SNSを見ていて男性が発する言説に対して今でも「キモいな」と思ってしまうことは正直、多々あります。

女体をありがたがってほしい

4歳で両親が離婚、複数の男性が出入りする家…シングルマザーに「対等な女性」として育てられた“謎の美女”が明かす壮絶な半生
男性が嫌いというわけではない
――ただ、活動の大半は男性が応援していますよね。嫌になりませんか。

黒跪:男性が嫌いというわけではないんです。ただ、SNSでは自分なりの美学や考え方を隠さず発信していて、いわゆるフェミニスト的な価値観に近い話をすることも多いですね。とはいえ、何でもかんでも敵味方に分けて、誰かを攻撃するようなスタンスはあまり好きではありません。

だから、共感してくれる人もいれば、合わないと感じて離れていく人もいる。結果的に、私のイベントに来てくださる方は、性別を問わず、相手への気遣いやリスペクトを持って接してくれる人が多いですね。

女性性を楽しんでもらうこと自体は全然いいと思っています。
でも、一人の人間として尊重する気持ちは忘れないでいてほしい。リスペクトをもって女体をありがたがってほしいですよね(笑)。

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黒跪さんが人を魅了するのは、その美貌もさることながら、彼女の背骨にひとつの哲学が走っているからだろう。一言で言い尽くせない親子関係も、男性から受けた傷跡も、すべて血肉にして表現者として舞台に駆け上がる。

<取材・文/黒島暁生>

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黒跪カレン


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【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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