いきなりキスを迫るという無謀な大勝負
2026年8月に放送されたフジテレビのドキュメンタリー番組・ザ・ノンフィクション「クズ芸人の生きる道 ~58歳 恋も笑いも崖っぷち~」では、お笑いコンビ「元ガッポリ建設」の小堀敏夫さん(58歳)が20代の女子プロゴルファーに失恋する様子が描かれました。20代の女子プロゴルファーと意気投合した小堀さんは、借金をして勝負のデートに挑むも、ムードも何もないタイミングでいきなりキスを迫るという大失態を犯してしまいます。
当然、20代の女子プロゴルファーには思いきり拒絶され、そのまま怒って帰られてしまいました。その直後、公園でガチ凹みしている小堀さんが、慰めようとした番組スタッフに「また笑いものにしやがって!」と逆ギレするシーンまでがセットで放送され、SNSでも大盛り上がりでした。
私の周辺にも客観的に見ると勝ち目がないように思える状況で、無謀な大勝負に出てしまう中年男性がちらほらいます。現代社会においてはたった1度の「不同意」の境界線を越える行為が、一発で社会的信用を失わせ、築き上げた人生を終わらせる致命傷になり得ます。
読者の皆さんには、そのような大失態を犯してほしくありません。そこで今回は、無謀な大勝負に出てしまう中高年男性の例と、その背景について解説します。おじさんのフリみて我がフリなおしましょう。
その1:女子大生と旅行したいおじさん
「就職活動が忙しいから」と1度は断ったが、大学4年の夏休み期間中に再度、「もう就職活動終わった?そろそろ旅行どうですか?」と、LINEがあったそうです。
その人何歳?と聞くと55歳で、さらにびっくりです。ちなみに「夏休みは卒業旅行で忙しい」と彼女が返信したところ……
「お前仕事舐めてる?」
「そんなことならこの仕事辞めた方がいいよ」
「この仕事むいてない」
と、55歳はキレ散らかしてきたそうです。
その2:「旅行代は出しますよ」とアピールするおじさん
「今カノが実はどこそこのナンバーワンで」「元カノもキャバ嬢なんだよね」とモテアピールするおじさんは割とよくいるし、これだけなら可愛いのですが、こういうおじさんは高確率で「旅行いかない?」とか言い出すので、やっぱり可愛くはないです。こういうおじさんにとって旅行にいく女と「今カノ」はイコールで、攻略成功を意味するもの。以前、「旅行代は出しますよ」とアピールされて椅子から落ちそうになったことがあります。こちらに1ミリもメリットがなさすぎて。
その3:「充電させて」…なんとしてでも部屋に入ろうとするおじさん
いずれも現代なら数百円~数千円で解決できることばかりであり、「部屋に入る」ことだけが本当の目的なのは明白です。
その4:直前に「2人きりになるけどいいかな」と言い出すおじさん
私のようなフリーの、しかも「なんでも書きますよ」的な安いライターをしていると、取引先のジジイが「みんな来られなくなったから」「2人きりになるけどいいかな」と、複数人で予定していた食事を直前になって2人きりの会食に変更する、なんていうことは全然珍しくありません。もちろん食後は「今日は僕と朝まで一緒にいてくれますよね」と変な悪あがきがはじまります。
その5:下着姿の写真を撮りたいおじさん
これも、私のようなフリーの、しかも「なんでも書きますよ」的な安いライターをしていると割とよくあることなのですが、取引先のジジイから「下着姿の写真を撮りたい」「7,000円あげるから」「それか新しい下着買ってあげるよ」「いいお小遣い稼ぎにはなると思うのですが……」など突拍子もないリクエスト(?)を受けることがあります。いくら37歳の肥満体型の下着姿とはいえ、7,000円では売れません。いえ、いくらなら良いよとかそういう話ではそもそもない。70,000円ならちょっと考えたかもだけど。
彼らは「仕事をあげる側(発注者)」と「もらう側(受注者)」という力関係を利用すれば、無理な要求も通るのではないかと味をしめています。しかし、もう令和8年です。
なぜおじさんは無謀な勝負に出るのか
・「自分だけは特別」という過信
彼らが青年だったころは、強引なアプローチや、立場を利用した「ちょっかい」が「男らしさ」「甲斐性」として許されて(見過ごされて)いた時代です。
また、私たちがキャバ嬢、ホステス、またはフリーのライターとして仕事上見せた「丁寧な対応」「愛想の良さ」を、「オレに気がある」「オレの男としての魅力に惹かれている」と誤変換するおじさんは少なくありません。
人は好意を持っている相手に対して、自分に都合の良い解釈をしてしまいがちです。
・「元を取りたい」心理と焦り
人は50代以降になり、自身の衰え(容姿や体力)を自覚した時、強烈な焦燥感に襲われます。そして、「もう後がない」「今決めなければ次はない」という焦りが、段階を踏む余裕を奪います。
また、キャバクラなどでは、お金も時間も労力もかけたのだから、何かしらの「成果(=旅行や交際の確約)」を得なければ損をするという焦りが生まれがちです。
・一発逆転のギャンブラー的心理
本来なら誠意を見せて信頼を築くべきところを、1回のインパクト(旅行、部屋に入ってごにょごにょなど)で関係を決定づけようとするおじさんも少なくありません。これはフラれた理由を「自分の人間性やスペックが否定されたから」ではなく、「タイミングが悪かった」「強引にいきすぎた」という行動のせいにすり替えるための防衛策でもあります。
そして、雰囲気を察して引くという大人の振る舞いができず、「当たれば天国、外れれば地獄」のギャンブルに身を投じてしまいます。
おじさんのフリ見て我がフリなおしましょう
今回は、無謀な大勝負に出てしまう中高年男性の例と、その背景について解説しました。「当たって砕けろ」「言ってみるのはタダ」といった身勝手な言い分を、相手の女性が「無害なもの」として受け入れることを期待しているジジイがあまりにも多いのですが、それは大きな間違いです。
こちらは「断る」というコストを一方的に押し付けられたうええ、断った結果逆ギレされたり、泣かれたり、説教こかれたりするだけでなく、「明日から仕事がなくなったらどうしよう」と不安な気持ちにさせられもするし、実際に干されることなんてザラです。
そのため、断る側がなぜか「申し訳なさそうな空気」を出したり、嘘の理由(予定がある、体調が悪いなど)をでっち上げ、相手のプライドを傷つけないようにケアさせられています。これが従来の働き方でした。
でも時代は変わり、このような無謀な勝負に挑むおじさんたちが、最近はちゃんと裁かれていますよね。「明日は我が身」と震えているおじさんが多いのでは。皆さんも、おじさんのフリみて我がフリなおしましょう。よろしくお願いします。
文/みずえちゃん
【みずえちゃん】
1989年生まれ。新潟県長岡市出身。関西外国語大学卒業後、大阪市内の広告代理店に勤務する傍ら、キャバ嬢デビュー。結婚、離婚、地方の激安キャバクラを経て、現在は銀座ホステスとライターを兼業。X(旧Twitter):@mizuechan1989
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