コンビニで長く働いてきた筆者。いったん現場を離れていた時期もあるが、現在はライター業の傍ら、知り合いの店長から「人手不足だから」と頼まれ、空いた時間だけ店を手伝っている。

 今回は、コンビニで働いていて「なんでこうなるの?」と店員が思わずにはいられない、理解不能な出来事について書きたい。

スタッフにもわからないことは多い

 店内には、チケットなどを購入する際にも使われるマルチコピー機が設置されている。だが、実はスタッフにもわからないことが多い。

 そもそもATMと同様にセルフサービスが基本なので、操作方法がわからなかったり、トラブルが起きたりした場合は、機械に記載されている「コールセンター」に電話してほしい。

 雨が降っていた、ある日の夕方。30歳くらいの男性が「あの、すいません。機械が……」と筆者に声をかけてきた。正直、故障だったら面倒だなと思いながら、

「故障ですか? 何か画面に表示が出ましたか?」

 と尋ねてみるが、男性は、

「ちょっといいですか? 来てください」

 と言う。

 そばへ行くと、男性は画面を見せながら尋ねてきた。

「この番号のあと、通知されてきた暗証番号を入力すればいいんですよね?」

 コンビニ店員が何でもわかると思わないでくれ……。とはいえ、誰にでもできそうな簡単な操作に見えたのでうなずくと、暗証番号を入力した画面にエラーが表示された。

 男性客は、なぜエラーが出るのか筆者に聞いてきたが、そんなことまでわかるはずがない。こうした問題は自分で解決してもらいたいものだ。


 接客で一番よくないのは、わからないのに憶測で答えてしまうことだ。あとになって「あの店員が〇〇と言ったからやったのに、どうなっているんだ?」と、責任問題に発展する可能性がある。

 筆者は、

「こちらではわからないので、ここに書かれているコールセンターへ電話して聞いてください」

 と伝えた。

 男性がスマホを取り出して問い合わせると、何かぶつぶつと文句を言いながら、筆者には目もくれずに店を出ていった。おそらく、別のコンビニでなければ対応できない手続きだったのだろう。自分の勘違いに腹が立ち、筆者と目を合わせるのも恥ずかしかったのかもしれない。

アイスを投げつけた常連客

「触るんじゃない!」袋詰めした店長にアイスを投げつけた男性も...の画像はこちら >>
 夏は、とにかくアイスが売れる。特に猛暑の日は、驚くほどの売り上げになる。

 店長と一緒にシフトに入っていたある日、常連の男性客Aがやってきた。この人は昔からたまに来るのだが、極端に他人との接触を嫌うようで、とにかく対応に気を使う客だ。

 相変わらず「袋をください」と言いながら、商品をスタッフには入れさせず、「ここ(レジカウンター)に袋を置いて」と指示し、自分で袋詰めをする。スタッフが勝手に商品を袋へ入れると怒り出すのだ。

 商品のバーコードも自分でこちらへ向けてくる。
それでも愛想がよければいいのだが、ずっとむっとしている。スタッフをまるでばい菌扱いするような態度で、決して気分のいいものではない。

 この日も同じような行動を取っていた。筆者は慣れているので無難に対応したが、Aが帰ったあと、店長が口を開いた。

「この前、あの人にアイスを投げられたんですよ」
「何ですか、それ!」

 先日、店長がレジに立っていると、Aがアイスを一つ持ってきた。「袋をください」と言われたので、店長が当たり前のように袋へ入れようとすると、いきなりAが怒り出したという。

「触るんじゃない」

 そう言って、Aはアイスを店長に投げつけ、そのまま帰ってしまったそうだ。

 店長も失礼な態度に腹を立てたが、代金は支払われていたうえ、客にも何か事情があるのだろうと考え、注意もせずに見送ったという。

「それって暴力と同じじゃないですか。許せないですね。出入り禁止にするべきですよ」

 筆者がそう言ってみたが、店長は苦笑いするだけだった。もう、Aには二度と来ないでほしいと思っている。


またもやアイスを投げる客が……

 たまに派遣スタッフとしてシフトに入ってくれる、50代の新谷さん(仮名)という女性がいる。真面目でしっかり働いてくれているのだが、耳が遠いのか、こちらが何か伝えてもあまり返事がなく、反応がかみ合わないことがある。声もかなり小さい。

 筆者からは言いにくいうえ、人手不足を補ってくれてありがたい存在でもあるため、店長には特に報告していなかった。

 仕事のできる20代スタッフのBくんは、新谷さんと一緒にシフトへ入ったあと、筆者にこう話していた。

「正直、あの人と仕事をするのは嫌です。反応が薄いし、声も小さい。たぶん、いずれお客さんとトラブルを起こすと思いますよ」

 ある日、筆者は新谷さんと一緒にシフトへ入っていた。店内は混雑しており、筆者もレジ作業に追われていた。

 すると、新谷さんのレジから客の怒鳴り声が聞こえてきた。こちらも接客中で、対応する余裕はない。

 その男性客はアイスを何個か購入したようで、筆者のレジの前を通り過ぎた。見かけたことのない客だった。


 ところが、男性客は再び新谷さんのところへ戻ると、袋からアイスを一つ取り出し、彼女に向かって投げつけたのだ。

 アイスは当たらなかったものの、いったいどうなっているのか。男性客はアイスを拾うこともなく、そのまま帰っていった。

 何が何だかわからず、筆者はあぜんとした。この行為だけを見れば、到底許されるものではない。警察を呼んだり、出入り禁止にしたりしてもおかしくないだろう。

スタッフに八つ当たりはやめてほしい

 新谷さんの証言と防犯カメラの映像を確認すると、経緯は次のようなものだった。

 アイスを三つ買った年配の男性客が、レジに商品を持ってくる。そこで新谷さんが入力ミスをし、客から指摘された。

 筆者なら、すぐに「ごめんなさいね」と謝り、会話で場を和ませるところだが、彼女は特に反応を示さないまま修正した。その後、客が何か言い、新谷さんも返答したようだが、声が小さすぎて相手には届かなかった。

 おそらく「すいません」の一言がなかったか、言っていたとしても聞こえなかったのだろう。
客は「何だよ、失礼な店員だな」と腹を立て、アイスを投げつけたようだ。

 防犯カメラの映像を見るかぎり、彼女に直接当てようとしたというよりも、怒りをぶつけるように投げたようだった。

 そこまで怒ることではないと思うし、スタッフに向かって物を投げる行為は暴力と同じだ。一方で、新谷さんの接客態度にも改善すべき点があったのは事実だった。

 結局、店長が新谷さんに少し注意しただけで、この一件は終わった。

 暑さで気が立っていたとしても、スタッフに八つ当たりするのはやめてほしい。アイスは投げずに、きちんと食べてください——そう思わずにはいられなかった。

<文/浜カツトシ>
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