23日の金曜ロードショー(後9時)は、先週に続きトム・クルーズ主演の人気シリーズが登場。「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」(2015年)が枠を45分拡大し、本編ノーカットで放送される。
これまでは作品ごとに監督が異なっていたが、本作のメガホンを取ったクリストファー・マッカリー監督は、「アウトロー」(12年、日本公開は13年)でトムとタッグを組んで以降、放送日の23日に公開されるシリーズ最新作「―ファイナル・レコニング」までの4作で本シリーズを担当。強い信頼関係を築いている。
犯罪組織「シンジケート」を追っていたIMFのイーサン・ハントは、英ロンドンで活動中に捕らわれの身となる。敵組織に所属する謎の女・イルサの助けを得て逃げ出したイーサンだったが、CIAは「シンジケート」が自分たちの存在意義を得るためにIMFがでっち上げた架空の組織であると断定。IMFを解体しようとする。
それに応じようとしないイーサンは、「反逆者」として国際指名手配されながらも「シンジケート」を追い続けていた。やがて、その正体が行方不明になっている世界各国の諜報員たちによる多国籍スパイ組織であることを突き止める。IMFの後ろ盾が無い中、イーサンは仲間たちと組織の殲滅をもくろむが…。
作品を追うごとに、派手になっていくアクション。先週のコラムでもちょっと触れたが、本作で最も知られているのは飛行機にしがみついている場面ではないかと思う。地上約1500メートルを時速400キロで飛ぶ軍用機での撮影について、トムは当時の来日会見で「ゴーグルをつけられないから、特注の眼球全体を覆うコンタクトをつけて撮った。エンジンの真後ろで縛りつけられたんで排ガスを全部吸い込んじゃう感じだった」と振り返っていた。
それをオープニングシークエンスの部分で持って来ているのが、何ともぜいたくなところ。「つかみ」で観客を一気に「ミッション―」シリーズの世界に引き込むと同時に、過去作を意識した作りが、マッカリー監督のシリーズに対する愛を感じさせる。
「シンジケート」の正体を暴くための”ミッション”が、難攻不落の場所から「あるファイル」を盗み出す―というのは、1作目にCIA本部に潜入し、ノック(NOC)リスト(他国で活動をしている諜報員)を手に入れるところに通じる。また、仲間のベンジーが、かんでいるガムをPCのモニターにくっつける場面は、同じく第1作の「秘密道具」を思い出す人も多いのではないだろうか。
さらに、シリーズ以外の映画へのオマージュも。本作の後半の舞台はモロッコ。映画でモロッコといえば、ちょっと映画に詳しい人であれば、ハンフリー・ボガードとイングリッド・バーグマンの「カサブランカ」が頭に浮かぶだろう。ラストシーン近くの「Here’s looking at you(君の瞳に乾杯)」は、あまりにも有名なセリフとして知られている。
同作で、バーグマンが演じているヒロインの名前はエルサ。そう、本作でレベッカ・ファーガソン演じる謎の女と同じなのである。(高柳 哲人)