俳優の寺尾聰(78)が16年ぶりに主演を務めた映画「父と僕の終わらない歌」(小泉徳宏監督)が23日公開され、スポーツ報知などのインタビューに応じた。

 アルツハイマー型認知症を発症した哲太(寺尾)と松坂桃李(36)演じる息子・雄太の親子の絆を描いた物語。

義理人情に厚く、「誰とやるか」を重視する寺尾は「桃李が息子役と聞いて出演を決めた。彼は生まれ持った品の良さがあって、まじめで礼儀正しい。日本を代表する俳優になるだろうね」と信頼を寄せる。小泉監督からは「寺尾さんの代表作にします」と背中を押されたという。

 歌手の橋幸夫(82)が20日にアルツハイマー型認知症であることを公表したことに触れ「活動を続けるらしいね。環境が許すのであれば、好きなことを続ける方がいい。完治は難しくても進行を遅らせることができる」。映画では、病気の進行にともなう家族の苦労も描かれているが「包んでくれるのは周囲の愛情しかない」と思いを込めた。

 「ルビーの指環」などのヒット曲を持つ寺尾の歌声も見どころ。「いつも一緒にライブをしているバンドメンバーが、芝居に合わせて演奏のテンポを変えてくれた」と感謝した。

 芸能生活は約60年。今年だけで3本の出演映画が公開されるなど、精力的に活動している。

「老年ではなく熟年として、今後も同世代がスカッとするような作品を作っていきたい。来年からはもっと音楽にも力を入れていきます」と意欲旺盛だ。(有野 博幸)

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