◆東京六大学野球春季リーグ戦最終週第1日▽早大11―2慶大(31日・神宮)

 早大が慶大に大勝し、3連覇に望みをつないだ。今秋ドラフト候補のエース右腕・伊藤樹(4年=仙台育英)が8回2失点の好投でリーグトップタイの今季6勝目。

現役単独最多の通算19勝目を挙げた。早大は1日の2回戦で連勝すれば勝ち点と勝率で明大に並び、3日に両校の優勝決定戦が行われる。慶大が勝てば明大の4季ぶり44度目の優勝が決まる。

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 大差をつけての先勝。試合後の早大・小宮山悟監督(59)は、確かな充実感を漂わせた。

 「期待以上の試合内容。明日につながる勝利ですから、良かったと思います。樹はしっかりとしたピッチングをしてくれました。できれば明日は温存して、明治戦に備えたいというのが本音。でも勝たないとその次はない。全員の力で明日、もぎ取りに行きます」

 東京六大学野球連盟が創設100周年を迎えた中での早慶戦。指揮官として、思い入れは人一倍ある。

 「諸先輩方が積み上げてきたものがありますので、恥ずかしくない試合をしないといけない。早慶戦というのはそういうもんだという教育を受けて、入学してから4年間挑んでましたので。早稲田のアイデンティティだと思ってます。慶応がなければ、早稲田はこれだけの存在になっていませんから。気を抜かずに失礼のないように、そういう試合をしないといけない」

 慶応というライバルがいるからこそ、日々の鍛錬で歯を食いしばれる。敬意を込めて、こう続けた。

 「監督に就任してから、何度も痛い目に遭わされています。逆に、(2020年秋の)蛭間の逆転のホームランの時もそうですし、忘れられない春の最多失点、最大得点差での敗戦(2023年春、早大1-15慶大)があったり、そういったものも含めて宿敵をいかに『ギャフン』と言わせるかという思いでやってきましたので。今日も9回、『もうそれ以上、取らなくていいよ』というぐらい打線がつながりました」

 最後まで手を抜くことなく全力を尽くすのは、好敵手に対する畏怖の念があるからだと力説した。

 「明日はもう1試合、なんとか取って優勝決定戦、樹をマウンドに上げられるように頑張りたい」と指揮官。6月1日の天気は一転、晴れ予報。紺碧の空の下、死力を尽くす。

(加藤 弘士)

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