春を通り越して夏らしさを感じる陽気の日が増えてきました。この時期は清々しい空気に誘われて外を歩く足取りも心なしか軽やかになります。

札幌に住み始めてから初夏の楽しみの一つになったのは、ライラックの開花です。

 小ぶりで可憐(かれん)な花々が房なりに、こんもりと咲くと、まるで群舞のような迫力が。遠くからでも分かるくらいの存在感に吸い寄せられ、早歩きで近づいてしまいます。

 すると、ふわりと甘美で豊かな香りが鼻をくすぐり、その香りをできるだけ吸い込みたくて、思わず顔を近づけてしまうのです。春の大通公園で「ずぞぞぞぞ」という音が聞こえたら、私がライラックの香りを胸いっぱい吸い込んでいるか、大好きなラーメンをすすっているかの2択です。

 そんな冗談を言いたくなるくらい気分の高まる季節、このイベントも忘れることはできません。「YOSAKOIソーラン祭り」が今年も開催されています。日本各地・世界中から集まったチームが鳴子を手に舞う伝統あるお祭りのにぎわいは、この時期の札幌の街の代名詞ともいえるでしょう。

 私が初めて札幌の街でYOSAKOIソーラン祭りを見たのは、STVへの就職が決まってすぐのこと。「自分がこれから暮らす街はどんな場所なのだろう」と期待と少しばかりの不安を胸に大通公園を訪れると、全身に響くような音楽や威勢のいい掛け声、青空に映える色鮮やかな衣装…。喜びに満ちあふれた空気にあっという間に魅了されたのを覚えています。

 丸一年かけて少しずつ蓄え準備し、成長して初夏の青空のもと群を成して花を咲かせる。

YOSAKOIとライラックはどこか似ているなと、時々感じます。

 STVでは7日午後3時から、生放送で会場の熱気をお伝えします。私は今年、8丁目ステージで演舞の実況を担当します。祭りに関わる全ての人が力を合わせて守ってきた伝統に携わらせていただくことに感謝しつつ、声に乗せたいと思います。

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