◆日本生命セ・パ交流戦 2025 ソフトバンク0―0巨人=延長12回=(12日・みずほペイペイドーム)

 右拳を強く握りしめた。巨人のライデル・マルティネス投手(28)がマウンドで雄たけびを上げた。

0―0の延長12回、2四球で2死一、二塁の危機を招いたが、最後は嶺井をスプリットで空振り三振に斬った。スコアボードにいつも通り「0」を刻んだ。

 自身の球団記録を更新する開幕から26試合連続無失点。さらには開幕から25回2/3無失点で、巨人のリリーフ投手では山口鉄也の25回1/3を抜いて球団最長記録となった。それでも「記録のことは考えたくない。これからも常にアウトを取ることに集中して自分のピッチングをしたい」と個人の栄誉には目もくれなかった。

 移籍1年目の助っ人は「プレーオフに出たいという気持ちでジャイアンツに来た。セーブ数よりも、チームが日本シリーズで勝つという目標にフォーカスしたい」と、チームの勝利のみを追求する。それは移籍する前から変わることはない。中日時代もたとえセーブ機会でなくても、チームが苦しい時には「オレが投げる。投げさせてくれ」とコーチに直談判する男気を見せたこともあった。

 本拠地・東京Dでの試合後は「やることはたくさんあるからね」と、トレーニングや治療に多くの時間を費やし、助っ人では珍しく家路に就く時間は遅い。

マウンドで最高のパフォーマンスを発揮するため、最善の準備を尽くす。

 この日は6投手が必死の継投で12イニング無失点。「ブルペン陣がそれぞれ与えられた役割をしっかり認識している。本当に素晴らしいと思うし、今後もブルペンみんなで頑張りたい」。最強守護神は、これからもマウンドで仁王立ちし続ける。(加藤 翔平)

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