◆報知新聞社後援 第74回全日本大学野球選手権▽準々決勝 東北福祉大8―3西南学院大(13日・神宮)

 4強が出そろった。東北福祉大(仙台六大学)が7年ぶりのベスト4進出。

午後10時16分に終了した前日の第4試合から、わずか13時間47分後に始まった試合に快勝した。東海大(首都大学)は早大(東京六大学)に8回コールドで大勝。8回には代打の砂子田(すなこだ)陽士外野手が史上初の1年生代打満塁弾を放った。1年生満弾は史上2人目で、東海大の1年生本塁打は原辰徳(前巨人監督)以来48年ぶり。東京六大学代表校のコールド負けは史上初となった。青学大(東都大学)は2試合連続の完封勝ちで、大学選手権10連勝となった。

 睡眠時間は4時間余り。眠気とも闘っていた東北福祉大の選手に“戦闘開始”を告げたのは、7番・新保茉良(しんぽ・まお)の一振りだった。2回無死一塁から外角低めの直球を捉えると、打球は右中間スタンドに飛び込む先制2ラン。「点を取って(投手を)楽にさせようと(ナインと)話していた」。神宮に向かうバスの中「眠いな」と漏らしていたナインは一気に目覚めた。計3本のホームランが飛び出して11安打8得点。

西南学院大を圧倒した。

 この日の試合開始は午後0時3分。12日午後10時16分まで及んだ東日本国際大との戦いを制して宿舎に戻ったのは11時過ぎ。風呂で汗を流したあと新保が食べた遅い夕食は、コンビニで購入したカップラーメンだった。日付が変わり午前2時30分頃にベッドへ。7時まで、つかの間の休息を得た。「眠れましたが、起きた時は眠たかった。それでも、特に疲労は感じませんでした」。8時30分には神宮の室内練習場に入り、打撃練習を行った。

 新保は東日本国際大戦で4打数無安打。3三振を喫していた。「寝るまでは気持ちを切り替えられなかった。

それでも、練習で『今日は打てそうだな』と感じました」と明かす。「選手には『ゆっくり(宿舎を)出て試合に入ったら』と言ったが『朝からやりたい』とバッティング練習に取り組んでいた。頼もしくなってきたのかなと思う」と山路哲生監督(58)。対戦した西南学院大の東和樹監督(52)は「夜遅くまで試合をしていたのに、私たちより先に練習を始めていた。全国で勝つチームは体力がすごい」と感心したように話した。

 準決勝では、史上初のV3を目指す青学大に挑む。「連覇しているので、自分たちで止めようかなと。普通にやれば勝てると思う」と新保。過酷なスケジュールを克服した東北福祉大が、18年以来の優勝へ大きな流れをつかんだ。(浜木 俊介)

編集部おすすめ