◆第107回全国高校野球沖縄大会1回戦 八重山商工6―1球陽(14日・沖縄セルラースタジアム那覇)
声高らかに歌い上げた校歌が、夏が始まる合図になった。全国のトップを切って始まった沖縄大会の開幕戦を制した八重山商工の選手は、笑顔でスタンドの仲間、保護者にあいさつした。
初めてという開幕戦の緊張からか初回、失策がからんで先制されるが、2回に宜保翔大(3年)がスクイズを決めて追いつくと、4回には識名雄介(3年)の適時三塁打で勝ち越し。5回にも3点を加えてリードを広げると、4投手の継投で逃げ切り。伊良部昂主将(3年)は「開幕戦に決まってから打撃中心に練習してきたことが出せたと思います」と10安打を放ったことに納得していた。
日本最南端の高校でもある同校は2006年に元ロッテの大嶺祐太投手を擁して春夏連続で甲子園に出場。それ以降は西武・平良海馬投手らプロ野球選手が誕生したが聖地からは遠ざかり、一時期は部員が9人まで減ったことも。そんな時、伊良部が高校進学にあたって「自分たちの島から甲子園を目指そう」と石垣島内の中学の選手に声をかけ、地元の八重山商工に進学。そのかいあって、マネジャーを含めた部員30人は全員が石垣島の出身だ。「このチームで最後の夏に優勝したい。自分たち3年生がいい結果を残すことで、(島内)の年下の中学生だったり、小学生を(八重山)商工に入りたいという気持ちにさせたい。最後の夏が大事になってきます」と伊良部。日本最南端から19年ぶりの聖地へ。