俳優の舘ひろしと柴田恭兵が21日、7月27日をもって閉館する東京・銀座の丸の内TOEIで開催中の記念上映「さよなら 丸の内 TOEI」内で行われた「あぶない刑事舞台挨拶」に登壇した。
「あぶない刑事」は1986年に日本テレビ系の連続ドラマとして放送された後、87年に劇場版の第1作が公開。
一方、「あぶない刑事」と東映の思い出を聞かれた柴田は、過去に舞台あいさつをした後の打ち上げ時のエピソードを披露。「舞台あいさつが終わって、スタッフを含めて乾杯することがあって。当時の東映の岡田茂社長が『柴田くん、この映画はよう分からんのう。これがヒットするんかね』っておっしゃられた(笑)。僕、カチンと来まして、『社長に分かりやすい映画はヒットしません。分かりにくいほうが絶対ヒットします』って若い頃に啖呵(たんか)を切ったのを思い出しました」と貴重な裏話を明かした。
テレビシリーズから映画化することとなった当時について、舘は「僕はテレビシリーズをずっと続けるつもりだった」という。「『早く終わっちゃったな』って思っていた。映画化するって聞いて『ちょっとめんどくさいかな』って…。すみません(笑)」とおどけつつ、「(第1作が公開された)その年に石原(裕次郎)さんが亡くなったんですね。(公開前に亡くなって)それで、チケットを持って、石原さんのご自宅にお邪魔して、『映画公開になりました。お客さんいっぱい入りましたよ』って報告したのを覚えています。すみません、暗い話で」としみじみと振り返った。
86年のテレビドラマシリーズから40年近く共に歩んできた舘と柴田。撮影中の印象に残っている出来事を聞かれた柴田は、タカがハーレーに乗り、手放しでショットガンをぶっ放す恒例のシーンをあげ、「何かあってもいいように、だいたいいつも撮影の最終日に撮っていました。正直、いつも僕は祈っていました。絶対けがはするな、絶対にけがはしないでくれって…。本気で…」と舘への思いがあふれたのか言葉を詰まらせた。
最後に舘は「僕にとって思い出の詰まった映画館。さみしい。でもまた他のところにできるんですよね?東映の映画をこれからも応援よろしくお願いします」とあいさつすると、柴田が「丸の内TOEIは…」と言葉を振り、一呼吸置いた。柴田の次の言葉を察した舘は「永久に不滅?」と決めぜりふを先回り。柴田は笑顔を見せ、「丸の内TOEIは7月27日をもって閉館となりますが、我が『あぶない刑事』は永久に不滅です」と3日に亡くなった長嶋茂雄さんの名言をもじった。観客からは大きな拍手が起き、野球を愛する柴田は「長嶋さんに愛を込めて」と言葉を紡いだ。(瀬戸 花音)