ザイレン後継者が、浜松商を引っ張る。昨年のNPBドラフトで、ソフトバンクに育成2位指名された曽布川ザイレン内野手(19)の座っていた4番を任されているのが中村哉翔(かなと)一塁手(3年)だ。
180センチ、80キロの恵まれた体格。ザイレンとの比較に戸塚和也監督(52)は、「勝負強さは中村の方が上。確実性があってムラがない」と評価。新チームから4番に座る中村にとってプロ入りした先輩はあこがれの選手で、「プロでの情報はいつもチェックしています」
チームの主砲は筋金入りの浜商ファンだ。「小学3年生ぐらいから高校野球に興味を覚えて、気がついたら浜商が大好きになっていました」。理由もなく、ただ名門校を追いかけて何度も球場に足を運んで応援。中学時代所属した浜松シニアでは同校出身のスタッフが多く、誘われるように進学した。
今春は県8強入りしたものの、準々決勝で姿を消した。磐田南の好投手・山田堅正(3年)に4打数無安打3三振を喫して、9回まで無得点。チームは延長11回タイブレークの末、3―5で敗れた。「僕が打っていれば、勝っていた」。
野球部創部は1924年。昨年が100周年だった。今の最上級生は今年を「新たな浜商のスタートの年」と位置づけている。過去、甲子園春夏通算17回出場の名門も、2000年夏以来、聖地から遠ざかっている。今夏はシード校として2回戦から出場。初戦は静岡北と吉原工の勝者と対戦する。「僕たちの代で甲子園に行って新しい時代を築きたい」。夏は四半世紀ぶりとなる県の頂点へ、“浜商愛”たっぷりの4番がバットで導く。(塩沢 武士)
〇…浅井琉晟(りゅうせい)主将(3年)が先頭に立ってチームをまとめる。「練習の時から本番を想定してできている。守備から流れをつくるのがうちの持ち味。