巨人の阿部慎之助監督(46)が26日、スポーツ報知のインタビューに応じ、27日のDeNA戦(東京D)からのリーグ戦再開に向けた心境を明かした。交流戦は6勝11敗1分けと苦戦。
気持ち新たに東京Dに集合した。1軍は25日の休養日を挟んで再始動。リーグ戦再開後、球宴までの19試合は阪神、DeNAと6試合ずつ、広島と3試合と上位3球団との対戦が続く。
「オールスターまで五分でいければ100点。上位チームと当たるから何とか食らいついていきたい」
交流戦は6勝11敗1分けで11位と大苦戦した。
「悔しい。細かいミスが多かった。上位のチームは当たり前のことを当たり前にできているはずだから。
攻撃面では交流戦18試合で42得点、1試合平均2・3点と得点力不足だった。
「得点圏打率が低いのもあるけど、走塁面にも原因があった。ワンヒットで一塁から三塁まで進めない、二塁から本塁までかえれない。そこが大きかった。単打4本で1点しか取れないイニングもあった」
先の塁を狙う走塁意識を高めることはもちろんだが、打って相手にプレッシャーをかける必要もある。
「昨年から言っているように『信号機を守る暴走族になろう』と。それをより徹底していくしかない。あとは相手の外野手の守備位置が定位置よりも浅く見える。それは頭を越される打球がないと思われているからだと思う。単打で2つ先の塁に進めないのはそういうのもあると感じている」
走者一塁から単打で一、三塁になるのと一、二塁では大きな違いがある。相手に少しでも長打がある、間を抜かれるかもしれないと思わせることができれば守備位置も変わるだろう。
「そのためには、打つしかないよね」
岡本が長期離脱する中で若手が多い野手陣。強い打球を打つために打席での待ち方、考え方も工夫する。
「積極的にいこうと言っているけど、打者有利カウントでも全部の球を追いかけて打ちにいってしまうことが多い。2ストライクまでは大ヤマを張って強振。それぐらいの割り切りが必要だと思う。若いカウントでは、変化球待ちで真ん中の真っすぐを見逃したっていい。それで変化球マークがばれたっていいわけだから。そこで相手は考えるから」
守備では外野手の緩慢な動きや判断ミス、記録に残らない中途半端な送球など詰めの甘いプレーが多い。
「今はコンディショニング重視で試合前のシートノックをカード初戦でしかやっていないけど、これから若手は毎試合やっていこうと思う。若手は練習量が必要だし、ファンに見られた中で緊張感を持ってやらないと。練習のための練習では試合につながらない」
苦しい交流戦だったが24日の最終戦、ロッテ戦の試合後には「いいところもあった」と総括した。
「野手陣がヘッドスライディングしたり『何とかしよう』と思ってやってくれてたのは良かった。
現状は甲斐、小林、大城卓、岸田の捕手4人制だ。
「このままいこうと思っている。卓三(大城)は長打が打てるし、打撃面でも貢献してほしいから」
甲斐は交流戦先発試合で7戦全敗と苦しんだ。
「今、もがいているからね。ジャイアンツでやる、勝たないと、抑えなきゃっていうプレッシャーがね。それだけ責任感を持ってやってくれている証拠なんだけどね。これはジャイアンツで捕手をやった人にしか分からないと思う。だからこそ勝ったら価値がある。今の甲斐は明らかに苦悩しているけど、これも勉強なんだって言って。配球に正解はないだけにさ」
長年、巨人の正捕手を務めた阿部監督は現役時代、苦しんだ時に逆の発想で大胆な配球で乗り切った。貴重な経験談は今の甲斐にヒントになるかもしれない。
「そういう時は逆に打たれちゃえと思ってやっていた。打ってみろよ、みたいに配球したほうが打たれなかった。打たれたらどうしようって考えた時の方が打たれることが多かった」
今後、捕手は状況によって併用していく方針。24日のロッテ戦でセーフティーバントして一塁にヘッドスライディングするなど必死にプレーする甲斐への期待は変わらない。
「ああいう姿勢が見えているうちは全然いいよって言って。これを何とか乗り越えて司令塔、チームリーダーとして若い選手を引っ張っていってほしい」
27日のDeNA戦で72試合目。シーズンのちょうど折り返しとなる。借金1、首位・阪神と4・5ゲーム差の4位から逆襲する。
「オールスターが終わってから後半戦と言うけど、もう後半。そう思って、みんなの尻をたたいてやっていく。キーマンは全員。これだけ交流戦で負け越しても、まだチャンスがあるんだから。
リーグ連覇へ力を結集して進んでいく。