巨人の大勢投手(25)は、ここまで今季自己最長となる7戦連続無失点を記録している。今季から主に「8回」を持ち場としながら試行錯誤。

新たにシーズン途中ながら、2段モーション気味のフォームに変更して、さらに状態を上げてきた右腕の変化を「Gを読む」で迫る。

 浮き上がるような直球がうなりをあげて、ミットに飛び込んだ。14日のオリックス戦(京セラD)。同点で迎えた9回、大勢がマウンドに上がった。2段モーション気味に変えたフォームから繰り出した直球は156キロ。頓宮を空振り三振。西川を遊ゴロ。最後は杉沢を二ゴロに打ち取ってうなずいた。

 ここまで、31試合に登板し5勝2敗、両リーグトップの22ホールドをマーク。しかし、5月中旬頃から走者を背負う投球が目立ち、6月1日の中日戦は1―1の8回に登板も3失点。5日のロッテ戦は1―1の延長10回に登板も1失点。2試合連続で敗戦投手となるなど、一時は状態が下降気味だった。

 巻き返しへ、シーズン中でも大胆に挑んだ。14日のオリックス戦からフォームを2段モーション気味に変更。「元々、僕は沈み込んだところから投げるタイプなので、そういう意識が持てるように」と突っ込みがちになっていた上体を修正し、体重の移動をより意識する狙いがある。

 杉内俊哉投手チーフコーチは「反動をつけるとか、並進をしながら投げるピッチャーなのでそこは試行錯誤。変えることは勇気はいるけど、フォークの落ちとかも良くなっている」と証言。右腕自身も「良い感覚もあって真っすぐで押し込めていた」と手応えを感じていた。制球力も上がり、ここまで今季自己最長となる7試合連続無失点と状態が上がってきた。

 過去にも関西国際大時代から導入してきたヒールアップ投法をシーズン中に封印するなど変化を恐れない姿勢を見せてきた。先発と違い、中継ぎは毎試合の登板の可能性があるため、日々、試合の中で調整していくしかない。「去年、けがをした時に桑田さんにも言われたことではあるんですけど、大きく変えていかないと身についていかない。この先、長く野球をやるためにも変化や自分の進化は成長だと思っているので、恐れずに試合の中できているかなと思います」

 今季は、昨季まで担った守護神の座をマルティネスに託して主に「8回」の新たな持ち場で結果を残している。常に挑戦する心を持つ背番号15の思いは確かな進化につながっている。

(水上 智恵)

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